ジレットのコピーはこれまで長いことThe Best a Man Can Get「男にとっての最高のもの」といった意味で、業界トップの剃刀ブランドでしたが、今回の新しいCMではThe Best A Man Can Be「なり得る最高の男」といった意味のコピーで、これまで「普通」とされてきた男性性ー女性に道端で声をかける(キャットコール)、ケンカをする、弱い者いじめをする、女性に手を出したり、もしくは女性をネタにした下品なジョークを言う、、、などのToxic Masculinityは果たしてベストの男のありかたなのか?を自問しています。
CMの後半では、今までずっと使われてきた言い訳「Boys will be boys」などが、ようやく最近になって変わってきたことを示し、ドラマ等で人気の俳優テリー・クルーズ(私も彼は大好き)が「我々は、男性(がやったこと)の責任を追求しなければだめだ」と言っているクリップや、キャットコールをする友達を止める男性、ケンカする子供を止める父親、娘に「私は強い」と教えている父親など、ポジティブな男性性を示しているシーンを見せ、これが「我々がなり得るベストな男の姿なのだ」としめています。CMの最後には、そういった「ベストな男の姿」をみる小さな男の子達の姿。そう、彼らが今の男性達を見て学び、大人になっていくのだから。
Integrity is choosing is courage over comfort, choosing what is right over what is fun, fast and easy. という文章があり、私も大好きな部分です。誠実さとは、快適さよりも勇気を選ぶこと。楽しくて、早くて簡単なことより、正しいことを選ぶことだ、という意味です。
レジデンシャルスクールでは子供達は英語を話すことを強いられ、番号のついた制服を着せられ、長髪の男の子は髪を切られ、先住民の母国語を使うと罰せられました。”Kill the Indian in the child (子供の中のインディアンを殺す)” こと、まさに、文化的ジェノサイドを目的としたもので、強制収容所と同じでした。授業と言われるものは半日のみで、残りの半日は女の子は掃除や洗濯、男の子達は畑仕事などの労働にこきつかわれました。身体的、精神的、そして性的虐待も日常茶飯事で、脱走し、途中で捕まえられた子もいれば(そういった場合は子供達は拷問を受けました)、親のもとに辿り着く前に寒さや飢えで死んでしまった子もいました。死亡した子供達の数は最低でも3200人と言われていますが、おそらく6000人を超えると言われています。
第1幕、Act 1はドラッグで姉を亡くした女性がディーラーにむけて書いた手紙、”Dear Dealer” です。”Did you even call her by her name? Or was it “lady” ? Or maybe you had a nickname for her, like “purple” the color of her car, the one she was found in” 「彼女を名前で呼ぶことなんてあったのかしら?それとも単に”lady”?もしかしたらニックネームを使ってたかもね、彼女が死んでるところが見つかった車の色にちなんで、「パープル」とか」ドラッグ問題を抱えていた姉は、車の中でオーバードーズして死んでいるところが見つかりました。亡くなった姉の携帯には、様々な人達から、ドラッグのディールに関するテキストメッセージが残されていました。姉を薬物中毒で亡くした妹の、誰にも向けることができない怒りに、胸が痛みます。
毎週、面白い話、怖い話、感動的な話と様々なストーリーを聴かせてくれるThis American Life、お気に入りのエピソードは数多くありますが、日本人としてもっとも心に残ったエピソードはエピソード597 “One Last Thing Before I Go” というエピソード内のAct1, “Really Long Distance” です。岩手県大槌町にある、東日本大震災で亡くなった、もしくは行方の知れない家族にメッセージを送れる公衆電話「風の電話」に関するエピソードですが、 NHKの番組で紹介されていたとのことですので、日本で観た方もいるかもしれません。この番組のプロデューサーの一人、Miki Meekは日本に家族がいるとのことで、NHKの許可を得て風の電話のストーリーをシェアしてくれました。私自身はこのポッドキャストで初めて知ったので、聴いたときは思わず涙してしまいましたが、何度聴いても、涙が止まりません。日本語で話されている部分がそのまま放送されていますので、ぜひ一度聴いてみてください。