【おすすめポッドキャスト002】カナダの先住民に関する負の遺産 Missing & Murdered

前回ではThis American Lifeをご紹介しましたが、今回おすすめするポッドキャストは、かなりシリアスな内容です。カナダの公共放送であるCBCでは様々なテレビ、ラジオ番組を英語とフランス語で提供していますが、今日ご紹介するのはCBCラジオのオリジナルポッドキャスト 、Missing & Murderdです。Missing とは行方不明になっていること。Murderedは殺された、という意味ですが、一体どんなポッドキャストだと思いますか。

カナダの負の遺産

アメリカと同じく、カナダも元は先住民の人々の土地でした。先住民は、アメリカでいうネイティブ・インディアンですが、昨今は「インディジネスIndiginous (その土地の土着の、という意味)」と呼ぶことが多いです。(先住民の方達を「インディアン」と呼ぶことは最近では失礼ということになっていますので気をつけましょう。)

カナダの先住民は大きく3つに分けられ、それらはおもに「ファースト・ネイションズ」「Métis メティス」そして「イヌイット」の人々です。

カナダには634以上の先住民民族がいると言われています。北米の先住民は千年以上の歴史がありますが、15世紀の終わりに白人の入植者達がやってきて以来、差別され、虐げられてきました。

カナダやアメリカでは19世紀の初めから先住民の子供達は同化教育のため、親から引き離され、政府の管理のもの教会が運営するインディアン寄宿学校レジデンシャル・スクール)に送られました。

1831年に最初のレジデンシャルスクールが出来て以来、レジデンシャルスクールに送られた子供達の数は合計150000人。

レジデンシャルスクールでは子供達は英語を話すことを強いられ、番号のついた制服を着せられ、長髪の男の子は髪を切られ、先住民の母国語を使うと罰せられました。”Kill the Indian in the child (子供の中のインディアンを殺す)” こと、まさに、文化的ジェノサイドを目的としたもので、強制収容所と同じでした。授業と言われるものは半日のみで、残りの半日は女の子は掃除や洗濯、男の子達は畑仕事などの労働にこきつかわれました。身体的、精神的、そして性的虐待も日常茶飯事で、脱走し、途中で捕まえられた子もいれば(そういった場合は子供達は拷問を受けました)、親のもとに辿り着く前に寒さや飢えで死んでしまった子もいました。死亡した子供達の数は最低でも3200人と言われていますが、おそらく6000人を超えると言われています。

カナダでは「Heritage Minutes」と名の付いた、カナダの遺産を紹介する短いコマーシャルがよくTVで流れますが、近年制作されたものはレジデンシャルスクールに関するもので、涙なくしては見れないものになっています。負の遺産です。

信じ難いことですが、最後のレジデンシャルスクールが閉校したのは1996年のことです。学校から解放されても、レジデンシャルスクールの経験者は大きなトラウマを抱え、数世代に渡って精神的問題やまたそこから不随してアルコール中毒などの問題を抱える人も多くいます。レジデンシャルスクールは、カナダの歴史の最も大きな汚点と言えるでしょう。

2008年に、真実と和解委員会が設立され、このレジデンシャルスクールをはじめ、カナダ国家が先住民の人々に与えた精神的、身体的苦痛とトラウマを記録し、和解と癒やしに向かうために作られました。

Missing & Murdered: Finding Cleo

CBCのジャーナリスト、コニー・ウォーカークリ−系カナダ人でこのポッドキャストのホストでもあります。

カナダやアメリカでは、先住民の女性が殺されたり行方不明になることが多く、カナダの国難、社会問題になっています。Wikipediaによると、1970年代から殺されたり行方不明になったインディジネスの女性の正確な人数は不明ですが、恐らく1000人から4000人と言われています。このMissing & Murdered ポッドキャストのシーズン1では、行方不明になった若い先住民の女性、アルバータ・ウィリアムズの事件を追っています。

今回ご紹介するのはシーズン2の「Finding Cleo」です。

サスカチュワンのクリ−系の女性、クリスティーンからの手紙でポッドキャストは始まります。クリスティーンは6人兄弟の末っ子。

子供の頃に、クリスティーンと他の兄姉はみな母親のリリアンから引き離され、それぞれ別のフォスター・ホーム(里子)にだされ、やがてカナダやアメリカの白人家庭に養子に出されました。これは、いわゆるSixties Scoopと呼ばれるもので、先住民の子供達を親から引き離し(多くの場合、親や部族の許可なしにです)、児童福祉制度に入れ、里子や養子に出していました。これは60年代の前から行われていましたが、60年代に最も頻繁に行われたため、そして生まれたばかりの子供を母親からScoop(すくう)したため、こう呼ばれました。当時カナダ政府は白人社会向けに「先住民の子供を養子に取ろう」という政策を打ち出しており、TVコマーシャルまで流していたそうです。

Sixties Scoopに関する絵で、ポッドキャスト中でもでてくるのかカナダのクリ−系アーティストのケント・モンクマン(素晴らしいアーティストなのでぜひサイトをチェックしてみて下さい)による絵のThe Screamです。RCMP(Royal Canadian Mountain Police – 王立カナダ騎馬警察)、司祭そして修道女が、先住民の子供達を連れて行こうとしています。泣き叫ぶ子供達と、母親。観ることがつらい1枚です。

The Scream by Kent Monkman 2016

クリスティーンは兄ジョニーや姉クリオ達と6人兄姉でサスカチュワンで育ちましたが、子供の頃に、ソーシャルワーカーがやってきて母親を残して連れ去られました。その後グループホーム(いわゆる児童養護施設のようなもの)に入れられたあとそれぞれ別の家庭に里子に、そしていずれは養子に取られました。

クリスティーンはネットなどを利用して散り散りになった兄姉を探し出し、今では連絡を取り合っていますが、唯一行方が分からないのが長女のクリオ(クレオパトラ)だそうで、CBCのコニーに「私の姉を探して欲しい」と連絡を取りったのがこのポッドキャストの始まりです。

長男のジョニーはアメリカの家庭で養子に取られ、カナダに戻ることはありませんでした。ジョニーは今ではペンシルバニアに住んでいます。ジョニーはソーシャルワーカーに「クリオは養子に行く先が決まったので、さよならを言うように」と言われたのが彼女の姿を見た最後だと言います。当時ジョニーは13歳、クリオは8歳か9歳くらいでした。

それ以外にクリスティーンやジョニーが知っているのはクリオが11歳の時に亡くなったということのみ。どういう経緯で亡くなったのか、一体クリオに何が起こったのか、クリスティーン達は答えを探しています。

クリスティーン、ジョニー、そしてその他の姉妹、過去の里親、時には政府組織に連絡を取りながら、コニーはクリオの行方を探します。

クリオは一体どこに行ったのか?どうして亡くなったのか?クリオは何故母親から引き離されたのか?最初は分からないことばかりですが、少しづつ謎が解けていきます。ネタバレはしませんが、このシーズンはシーズン1と違ってドラマティックな結末があります。かなりショッキングな結末ですが、カナダのSixties Scoopが先住民の子供達にどんな影響を与えたのか、私達にはこのポッドキャストを聴いて、彼らのストーリーを知る義務があると思うのです。

この数年、北米ではTrue Crimeという犯罪もの、殺人ものジャンルがとても人気で、このおすすめポッドキャストシリーズでもTrue Crimeのポッドキャストを紹介していこうと思っていますが、このMissing & Murderedは単なる調査報道ものではなく、カナダの暗い歴史という社会問題にスポットをあてているという点で注目されるべきポッドキャストだと思います。カナダだけでなく、世界中で現在話題になっています。ぜひ聴いてみてください。

【おすすめポッドキャスト#001】This American Life

本の紹介も少しづつ、ゆっくりやっていますが、これから、おすすめのポッドキャストも紹介していこうと思っています。ポッドキャストは大好きで、絵を描いている時、キッチンに立っている時、運転中、散歩中、常に何か聴いています。

最初に紹介するポッドキャストはこれ。

アメリカでは知らない人はいないというほど有名なポッドキャスト、This American Life. 私の中でも恐らく好きなポッドキャストTop5にはいります。

1995年から20年以上続いているシカゴ公共ラジオの番組ですが、ポッドキャストとしても世界中で親しまれています。ホストはユダヤ系アメリカ人のIra Glass。ラジオ業界では神(それは大げさか)のような人ですが、うちの夫いわく「聞いているとリラックスして下手すると眠くなる」ような独特の声で知られています。ラジオに興味がある私にとっては、一生のうちに一度会ってみたい人物の一人です。

毎週テーマにそってエピソードを作成。時には政治的な問題(難民問題、米国憲法修正第一項、左右極端に分かれるアメリカ国民など)に全エピソードを捧げることもありますが、通常は2から4つのセグメント(お芝居の様にAct1, Act2と呼ばれています)に分かれ、取材を元にしたストーリーや、時には詩やエッセイの朗読もあります。

私はポッドキャストとしてiPhoneで聴いていますが、毎週日曜日の夕方6時に新エピソードがリリースされるので、それを聞きながら夕食の準備をするのが私の習慣になっています。

一番最近の、先週のエピソード646のタイトルは「Secret of my Death」で、すでに亡くなった人たちにまつわるストーリー。

第1幕、Act 1はドラッグで姉を亡くした女性がディーラーにむけて書いた手紙、”Dear Dealer” です。”Did you even call her by her name? Or was it “lady” ? Or maybe you had a nickname for her, like “purple” the color of her car, the one she was found in” 「彼女を名前で呼ぶことなんてあったのかしら?それとも単に”lady”?もしかしたらニックネームを使ってたかもね、彼女が死んでるところが見つかった車の色にちなんで、「パープル」とか」ドラッグ問題を抱えていた姉は、車の中でオーバードーズして死んでいるところが見つかりました。亡くなった姉の携帯には、様々な人達から、ドラッグのディールに関するテキストメッセージが残されていました。姉を薬物中毒で亡くした妹の、誰にも向けることができない怒りに、胸が痛みます。

第2幕は、「メメント・モリ」ならぬ「コメント・モリ」。ある日突然昏睡状態になった男性。目を覚まさない日々が続き、家族はついに生命維持装置を切ることを決めます。その日の夜、生命維持装置を切るということがFacebookにて家族や友達に知らされると、何百という友人達からコメントが寄せられました。ところが、2週間後に。。。ネタバレになるのでここでやめておきますね。続きが知りたい方はぜひエピソードを聴いてみてください。

http://mickey11042.blog.fc2.com/blog-entry-118.html

毎週、面白い話、怖い話、感動的な話と様々なストーリーを聴かせてくれるThis American Life、お気に入りのエピソードは数多くありますが、日本人としてもっとも心に残ったエピソードはエピソード597 “One Last Thing Before I Go” というエピソード内のAct1, “Really Long Distance” です。岩手県大槌町にある、東日本大震災で亡くなった、もしくは行方の知れない家族にメッセージを送れる公衆電話「風の電話」に関するエピソードですが、 NHKの番組で紹介されていたとのことですので、日本で観た方もいるかもしれません。この番組のプロデューサーの一人、Miki Meekは日本に家族がいるとのことで、NHKの許可を得て風の電話のストーリーをシェアしてくれました。私自身はこのポッドキャストで初めて知ったので、聴いたときは思わず涙してしまいましたが、何度聴いても、涙が止まりません。日本語で話されている部分がそのまま放送されていますので、ぜひ一度聴いてみてください。

これからもどんどんおすすめポッドキャストをご紹介していきますのでお楽しみに。

 

クリエイティブなことを続ける

前回のブログからすっかり時間が経ってしまいました。あっという間に5月、2018年もあと一月で半分ですね。

この5ヶ月の間何をしていたかというと、今年の3つのキーワードを念頭に置き、様々なクリエイティブなことに挑戦していました。

1.水彩画

2017年から本格的に始めた水彩画。もともと絵を描くことは好きでしたが、大人になって絵の具を買ったきっかけは、2016年にオンラインで取っていたブレネー・ブラウンのコースでした。そのコースでもクリエイティブなこと、アーティスティックな表現は大切とされていて、コースの一部で絵の具を使って描くエクササイズがあったのがきっかけです。

コース終了後も暇をみつけては絵を描き、インスタグラムに投稿していましたが、去年の春に#the100dayprojectというプロジェクトをインスタグラムで発見しました。絵に限らず、何かしらクリエイティブなことを100日続けてインスタグラムに投稿するというものですが、100日はおろか、30日ブログチャレンジなども過去に失敗している私は、あまり期待はせず、とりあえずやるだけやってみようと思い、始めました。

子供や夫が起き出す前の静かな時間に一人早起きしてコーヒー片手に絵を描く、これが日課になるまでそんなに長くはかかりませんでした。自分自身のストレス解消にもなるし、とにかく絵を描くのは楽しい。そして信じられないことですが100日無事に終えることができました。

その後、水彩のオンラインショップ「水彩屋」をEtsyにオープンし、絵を買って頂いたり、特別オーダーなどもいただくようになりました。

今年は、私にとって2回目の #The100dayprojectに再度参加し、現在38日目です。


また、先週は、生まれて初めて、自分の絵の個展(!)というものを開かせていただきました。友人が経営しているコミックブックショップの奥にある小さな小部屋でのアートショウですが、オープニングの日には沢山の方に来て頂きました。ビクトリア在住の方は、今月一杯は展示されているので、ぜひ観に行ってみてください。

2.ラジオ

私は数年前にYouTubeでのビデオ番組もやっていたことがありますが、最近はポッドキャストをよく聴くようになり(ほぼ毎日、1日中聴いています)、ラジオ番組への関心が高まってきました。ビクトリア大学には、CFUVというコミュニティラジオ局があり、そこでは大学の生徒はもちろん、一般市民でもボランティアをすると無料でトレーニングが受けられるので、去年の秋から早速ボランティアをしています。まだまだ自分1人で番組を持つレベルではありませんが、番組のホストとして出演したり、またラジオ劇番組で始めて声優の経験もすることができました。私はどちらかというと音楽番組よりもストーリーテリングのできるポッドキャストや報道プログラムに興味があるので、引き続きボランティアを続けて行きたいと思っています。

3.ポッドキャスト

ラジオ局で放送のためのトレーニングを受けつつ、個人ではネットで簡単に配信できるポッドキャストも始めました。私が普段聴いているポッドキャストは99%英語なので、日本語で、自分が興味ある分野(フェミニズム、レイシズム、カルチャー、アート)などについて語るポッドキャストがあれば、、、と思っていたのですが、見つからなかったので自分で作ることにしました。福岡在住で、いつも仲良くしてもらっているライターの須藤美香さんをパートナーにお迎えして「はみだし系ライフの歩き方」というポッドキャストを始めました。

Facebookページを基本のハブにしていますので、ページを「いいね」してくださるととても喜びます。

週に1回の更新ですが、今のところネタが切れることもなく、現在の時点で6話リリースしています。noteの方で詳しい解説も載せています。

また、こちらは最近配信が滞っていますが、夫と一緒に英語でのポッドキャストも始めました。こちらもよかったら聴いてみてください。

4.映画のエキストラ

これもひょんなところから飛んできた案件なのですが、去年2日ほど某映画の背景のエキストラとして仕事をしました。セリフなし、本当に背景でちょろちょろしているだけの仕事で、ほぼ1日拘束されますが、とても楽しかったので今年も同じ映画の続編がビクトリアで撮影されると聞き、応募してみました。

なんと今回の映画ではただの背景ではなく、映画の一部として結構重要な「脇役」を仰せつかり、特殊メイクあり、衣装あり、カツラありのすごい事に。セリフはないのであくまでエキストラの1人ですが(セリフがあると時給もぐっとあがり、「キャスト」に格上げされるらしい)、1週間ほど毎日12時間以上労働で(映画の撮影なので待ち時間がものすごく長い)したが、他のエキストラの皆さんとも仲良くなり、映画制作に関しても勉強になることばかりで、とても良い経験になりました。ビクトリアはバンクーバーほど映画の撮影が多くないので(これでも増えてきているほうですが)、フルタイムでエキストラをやっていくのは大変そうですが、これからも機会と時間があれば続けたいと思っています。

とりあえず今のところこれだけですが、まだ正式に発表はできないものの、舞台関係の次のプロジェクトの案件もまわってきています。

「はみだし系ライフの歩きかた」でも少し話しましたが、私は「見切り発車」型です。水彩の個展でも、まだまだ初心者なのに個展のオファーに「YES」と言ったのは「Brave(勇気がある)」だと沢山の人に言われました。特に日本人は謙遜の文化なので、「私なんてとても〜」と遠慮してしまいがちですが、私はあえて「もちろん何十万ドルで作品が売れるプロのアートのレベルでないことは分かっているけど、自分の作品を世に送り出すことが大事」だと思っています。

今年の3つのキーワードの一つは”Move”ですが、やはり、このようにして様々な場所で創造活動を続け、人に会っていくと、自然にフラグが立ち、新しい道が開けたり、オファーが来たりするものです。

こちらもポッドキャストで紹介した(ブログでも紹介しました)エリザベス・ギルバートのBig Magicのように、人は創造するために生きているのだと私は思うのです。これからも、創造し続けていきたいと思っています。

デール・カーネギー「人を動かす」を実践したらどうなるか。必聴のラジオ番組This American Life

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アメリカでは知らない人がいないくらい有名なラジオ番組にThis American Lifeというものがあります。1995年から続いている週刊の1時間番組で、WBEZというシカゴの放送局で制作されていますが最近では数え切れないほどのアメリカ、カナダの公共ラジオ局、そしてポッドキャストでもこの番組を聴くことができます。私は外を歩いているときや車の運転中にポッドキャストを聞くのですが、このThis American Lifeは一番のお気に入り番組です。ホストのアイラ・グラスは聴いていると眠くなるような落ち着いた声の持ち主で、この番組のクリエイターです。

毎週、テーマに沿ったストーリーが Act1、Act2,のように分けていくつか紹介されるのですが、社会問題を追及したルポ作品になっていたり、感動的な話をまとめていたり、朗読があったり、エッセイをそのまま紹介していたり、様々な才能あるライターやレポーター達が集めてきた話を紹介していて毎回とても質の良い番組になっています。

たまたま今日聴いたエピソードが、デール・カーネギーの「人を動かす(原題:How to win friends and influence people)」に載っているコツを実行したらどうなるだろう?というテーマで、とても面白かったので紹介します。全部紹介すると長くなるので、面白いところだけまとめますね。

番組のサイトではActごとに分けて聴けるようになっていますので便利です。

プロローグ:

プロローグは、この「人を動かす」の本を読んで感銘を受けた父親から、この本を薦められたミシガン郊外の11歳の少年が、学校でこのコツを実践したらどうなったか、というのを面白く紹介しています。

Act1: To Make a Friend, be a friend:

私も大ファンのデイビッド・セダリス(彼は以前この番組のライターでしたが今でも時折登場します)の作品の朗読。彼の話にはいつも父親がいかに失礼な人間かを自虐的に書いていますが、毎回最後はちょっとしんみりさせるのがやはりうまい。この人の作品は毎回ものすごく面白い。才能。学校で人気のある友達と自分との差をなんとかして埋めようとするデイビッドの回顧録。

Act2: Stay In Touch:

外交というものは、相手の国に自分の国を好きになってもらい、そして他の国を動かして自分の国のために有益なことをしてもらうものですが、911のあと、国同士の連立を求めて他国に働きかける様子をコメディライターで脚本家(30 Rockや最近では エイミー・シューマーのInside Amy Schumerのライターもやっている)のTami Sagherが、「アメリカが中国やイランやパキスタンに電話したらどうなるか」を演じていて面白いです。パキスタンに「カシミアって言ったらあなたしかいないじゃない!」とか、中国に電話して「あの漁船の件、大変だったわね。。。あ、あれ日本?ごめん!見分けがつかないわけじゃないのよ!」とか。笑った。

Act 3: People Like You If You Put A Lot Of Time Into Your Appearance

シアトル郊外在住のマークさんは、スーパーマンの衣装を身につけて時々街に繰り出します。たいていの行き先では歓迎され、道行く車からはクラクションを鳴らされたりしますが、なぜ彼はスーパーマンの恰好をするようになったのでしょうか。それには、ちょっと切ない理由がありました。ライターのまとめ方が上手い。

Act 4: Just Be Yourself

ジョナサン・ゴールドスタインもデイビッド・セダリス同様、非常に才能あるライターです。Act4では、スーパーマンと別れたロイス・レーンとデートすることになった男も話を彼独特の語り口で描きます。すごく良い。

いかがでしたか?iTunesでもこの番組登録できますので是非聴いてみて下さい。英語の勉強にも良いですね。

 

TEDトークをまとめたポッドキャストTED Radio Hour

 

最近ポッドキャストにはまっていて、暇があるといろいろ聞いています。特に気に入っているのがアメリカの公共ラジオNPR(日本のNHKのような感じでしょうか)。This American LifeなどはNPRの看板長寿番組でこちらもおすすめですが、今日ご紹介するのはTEDトークをトピックごとにまとめて紹介するTED Radio Hour。先日聞いて特に心に残ったのが年末に放送されたJust a Little Nicerというエピソード。

5人のTEDスピーカーの話をクリップで紹介しつつ、各スピーカーとのインタビューも交えた構成ですが、これが毎回深く考えさせられる内容で、とてもいいんです。

この日のエピソードはCompassion(思いやり)。
最初に登場するSally Kohnの仕事は保守寄りで有名なFOXニュースのコメンテーター(現在は主にCNNのようです)ですが、保守層の視聴者が多いFOXでリベラル、しかも同性愛者、プラス女性であることから、視聴者からの意地悪なコメントは後が経たないと言います。「頭悪いんじゃない」など、普通なら面と向かっては絶対に言わないようなことをネットでは平気で言う人が沢山いるそうです。
彼女のTEDトークでは、よく使われるPolitically Correctness(政治的、道徳的に正しいこと)ではなく、Emotional Correctnessが大事であると説いています。何を言うのかでなく、どう言うのか、が相手を説得する際に非常に重要だというのです。彼女はリベラルですが、時として自分以外の意見について否定的だったり、独善的だったりすると反省しています。ところが、政治的には彼女と正反対の意見の保守派の人たちは、一転して、ものすごくいい人が多いのだそうです。
彼女が一緒に仕事をしている保守派の有名なコメンテーター、ショーン・ハニティは、政治的には(彼女から言うと)99%間違っていると思える人ですが、Emotional Correctnessがものすごく高いため(空いた時間にはスタッフをブラインドデートにセットアップしたり、何か困ったことがあれば真っ先に助けてくれる)、そういう人だからこそ、たとえ自分と正反対の意見でも、とりあえず意見を聞こうという気になる人が多いのだと説明しています。

全く反対の意見に対して、あなたの主張は間違っている、と伝える場合でも、誠意を持って会話をすることが可能だ、そしてそれは必要なことであると彼女は言います。

彼女には沢山のヘイトメイルが届くそうですが、中にはとても心温まるメッセージも来るとか。特に嬉しかったのは「あなたの政治的意見には反対だけど、私は人としてのあなたの大ファンです。」というもの。それは彼女が何を言ったかでなく、どういうふうに言ったかが彼の心に響き、だからこそ彼女の話を聞こうという気になってくれたのでしょう。だからこそ、会ったこともないこの視聴者と、通じ合えることができたのだと。

Our challenge is to find the compassion for others that we want them to have us, that is emotional correctness.

自分に対して持って欲しい思いやりを相手に対して持つこと、つまりエモーショナル・コレクトネスを持つことが私たちの課題です。

I’m not perfect. But what I am, is optimistic.

私は完璧ではありませんが、希望は持っています。

思いやりとは何か

二人目のスピーカーは公共ラジオ・ポッドキャストのOn Beingという番組のホスト、Krista Tippett。実は私もこのエピソードがきっかけでクリスタの番組を聴くようになり、大ファンになったのですが、その話はまたの機会に。

クリスタのTEDトークは、Compassion(思いやり)について。

普段から常に人間であるとはいったいどういうことなのか、というテーマで多くの人にインタビューしているクリスタですが、Compassionという言葉には、新聞の『ちょっといい話』欄に載せられる感傷的なものや、または一般の人にはとうてい真似できないような英雄に使われるものというイメージがあると言います。

それではコンパッションを私たちに理解できる言葉で解釈するといったい何になるでしょうか。

クリスタはコンパッションは親切さ(Kindness)と言い換えられると言います。親切さというとあまりにもありふれたもののように思えますが、これは、毎日の生活の中で培われる美徳の副産物であり、またとても簡単に人を喜ばせることができるものであると言います。

コンパッションはまた好奇心が強い(Curious)ことであるとも。思い込みを捨てて、相手を知ろうとすることですね。

共感、許し、和解、そして存在ーその場に居てあげること、姿を見せること(Showing Up)もまた、「思いやり」の表現だと言います。

また面白いのが、思いやりとはまるで語学の習得のように実際に練習することができ、実践すればするほど身についてくるものなのだとクリスタは説いています。

思いやりの科学的背景

科学ライターのRobert Wrightは科学的な見地から、思いやりについて語ります。自然淘汰やゼロサム/ノンゼロサムゲームというゲーム理論に関して彼のTEDトークで触れています。人間というものは、自分に親しい人、自分に有利になる人にまず親切にするようにデザインされているので、他人に思いやりをもつことは簡単ではないと説いていますが、テクノロジーの発達よって、「親しい人」の定義がどんどん広くまた複雑になってきていると言っています。

黄金のルール

元修道女のKaren Armstrongは17歳で修道院に入り、あまりにもそこでの生活か惨めだったためオックスフォード大学でで文学を勉強するために修道院を辞めました。今では宗教の歴史家として活躍しているカレンですが、かつてはかなり毒舌だったそう。「あなたって誰のことも良く言わないのね」と指摘されたこともあるそう。

宗教から切り離されたあとで思いやりを発見したというカレンは、世界中の宗教を研究し始めて、どの宗教も黄金のルールというものを説いていると説明します。「自分がして欲しいことを、他人にしなさい」そしてその反対バージョンの「自分がして欲しくないことを、他人にしてはいけない」。ですが、今でもこのルールを守るのは時にはとても難しいと彼女も認めています。

この黄金のルールは、幼稚園の子供たちに教えるようなルールですが、世界中にはまだ沢山の戦争や対立に満ちあふれています。それはなぜかというと、心優しくなるよりも、正しくあることが重要であると思う人が多いからだそうです。宗教を自分のアイデンティティを強めるために利用している人が多いと。

こころの知能指数

心理学者のDaniel GolemanはEmotional Intelligenceという言葉を作り出した人として最もよく知られています。日本では「EQこころの知能指数」というタイトルで出版されています。

彼のTEDトークは、Empathyについて。

北米では、道ばたでホームレスの人たちがお金を集めているのは珍しい光景ではありませんが、彼らに小銭をあげる人たちはごく一部です。

ダニエル自身はほぼ毎回お金を恵んでいるとのこと。そして彼の質問は、お金をあげない人たちは、何故ホームレスを無視しているのか?ということです。

神学校に通う生徒たちを対象にクラスの半分にはGood Samaritan(善きサマリア人)、つまり見知らぬ人を助けてあげることの大切さ、そして残りの半分の生徒にはランダムな講義を聞かせ、その後別の校舎に向かう途中で、道で苦しんで居る人に出会うとどうなるか、というプリンストン大学の実験があります。結果は、サマリア人の講義を聞いたかどうかと苦しんでいる人を助けるかどうかには全く因果関係はなく、その生徒が急いでいるかどうかが鍵だったと言います。

ダニエル自身も同じような経験があるとのこと。ニューヨークの地下鉄で、苦しんで倒れている人を見かけたそうなのですが、周りの人たちはいっこうに気にとめず、歩き続けていたとのこと。ですがダニエルがその男性に声をかけた瞬間、周りに居た人たちが一斉に助けに集まったそうです。この男性は英語を話せず、お金がなかったため空腹で倒れたのだとわかるとすぐにジュースやホットドックを持ってくる人たちがいました。

ダニエルは、ホームレスの人々は多くの人々の周辺視野になってしまっている、大事なことは彼らに気づくことだと言います。

いちど気がつきさえすれば、上の例のように助けの手をさしのべる人たちは沢山いるのです。

また興味深いポッドキャストがあれば紹介していきますのでお楽しみに。