Shame(恥)を使った教育や社会について

今、Clubhouseでは日本時間毎週水曜日の朝7時から、Daring Greatlyを読んでいくブッククラブをやっています。今週は第6章 Disruptive Engagementという章を読みました。

その章には学校や社会でShame(恥)を使ったマネジメントが多いと誰も関わりをもたなくなる=Disangegmentが起こる、ということが書かれています。またブレネーによると、研究対象者の85%が、学校で起こったShamingな出来事を覚えているというリサーチ結果が紹介されており、特に美術や音楽などのアート系の授業で、他人と比較されたり、けなされたり、からかわれたりというCreativity Scar(創造性の傷)を受けることが多いと書かれていました。

ブッククラブでその話をしていた際、参加されていた塚越悦子さんが「人によっては、何がShamingであるか分からない人もいるのでは?」というコメントをしてくださり、もうすこし深堀りしたいと、急遽翌日TwitterのSpacesでもShameについて話す場を設けました。

Spacesでは、まずはShame(恥)とは何なのかという話から始めました。ブレネー・ブラウンによると、Shameの定義は、“Intensely painful feeling or experience of believing that we are flawed and therefore unworthy of love and belonging.” 「自分の欠陥のゆえに愛や居場所を得るのに値しないと思い込む、激しい痛みの感情または体験」だそうです。Shameという単語は動詞でもあります。Shamingとはどういうことかというと、上の様な感情を引き起こす行動と言えると思います。

私がポッドキャストで「声をあげよう」と言ったり、ブッククラブやヴァルネラビリティ・アノニマスの会でシェアして頂いたことに怒ったり共感したりすると、時々、リスナーさんや参加者の方から「自分の意見を言っても良いんですね」とか「これって怒っても良いんですね」と言われることがあります。それと一緒で、恥を感じさせる行動にも、気がついていない人が実は多いのかもしれない、と思いました。学校や会社で、Shameを使った学習や経営が普通になってしまっていて、おかしいことだと気づかない人がいるのかもしれないと。

学校で、テストの結果を貼り出すような行為は私が学生だったころには普通に行われていましたが、それも確かにShamingです。ブレネーの本にも出てきますが、売り上げの成績によってオフィスの場所を変えるシステムのある会社や、Loserと書かれたホワイトボードがある会社、またこれははみライでも以前美香さんが言っていましたが子育てにも「○○ちゃんはもう指しゃぶりしてないよ」とか「○才にもなっておねしょするのは恥ずかしいよ」など、子育てにもShamingは蔓延していると思います。これがあたり前の社会だったら、「自分には価値がない」と思う人が続出しても全然おかしくないし、自己肯定感が低い人が多いのもあたり前だという気がします。

そしてこれがあたり前の状態になってしまうと、人は「もうどうでも良い」と関わる意欲を失うDisengagement)してしまうのですね。誰も他人のことを気にかけず、自分だけが逃れられれば良い、という会社、学校、社会は思いやりや優しさの無い会社、学校、社会と言えるかと思います。

それではどうやって変えていけばいいのでしょうか?

まず自分が教師や上司という上の立場にいる人の場合は、恥を使ったマネジメントをやめることが一番だと思います。生徒や部下を他人と比べないこと。

そして自分がShamingな待遇を受けた側の時、それを誰にも伝えないでいると「私はできそこないなんだ」「私はダメな人間だ」などというネガティブなセルフトークが頭の中で繰り返されてしまいます。

ブレネーによると、「恥からの回復力(Shame resilient)」をつけるには、まず自分が恥を感じていることを自覚すること。そして、信頼できる人に話すことが大事と話しています。

人に話すと、「私も」と言ってくれる人が現れたりして「私だけじゃないんだ」と思うことができます。また、「それは辛かったね」「哀しかったね」と共感してくれる人がいるだけで、恥は消えていくのです。(ブッククラブの仲間では、このことを「成仏させる」と言っています)

塚越悦子さんとヴァルネラビリティ・アノニマスをやります。

こういった恥の体験を話す会を「ヴァルネラビリティ・アノニマス」と呼んで、不定期に開催していますので、興味のある方はぜひご参加下さい。次回は日本時間2021年10月7日木曜日の夜10時半から予定しています。 ヴァルネラビリティ・アノニマスにはルールがありますので、ご参加前にそちらもご一読下さい

恥についてはこちらのポストにも以前書いています。

Shamingな体験は誰にでも起こりうるし、この恥との関わりは一生無くなることはありません。それでも自己肯定感を高く、「わたしはこれでいい」と思える生き方をブレネーはWholehearted Living(心からの生き方)と呼んでいます。Wholehearted Livingに少しでも近づきたい方はぜひClubhouseでやっている「Brené Brownブッククラブ」というクラブをフォローして不定期で開催しているお部屋にご参加いただくか、ブッククラブにご参加下さい。(次回開催は来年になると思います)一緒に、不完全だけどありのままの自分をみとめる生き方をめざしませんか?

【お知らせ】

このブログ以外にも、最近は週に一度配信するニュースレターも書いています。その週感じたこと、話題のニュース、読んだ本、聴いたポッドキャスト、見たTVや映画の話題も多いです。ぜひご登録下さい。

The Gifts of Imperfection10周年を記念して無料ブッククラブを始めます

7月から新しく2つの本を2つのブレネー・ブラウン ブッククラブで読んでいくということは前回のブログでお知らせしましたが、先日、ブレネーのSNSへの投稿で、「The Gifts of Imperfection(邦題:ネガティブな感情(こころ)の魔法ー以下「The Gifts」)」の10周年を記念して、ブレネーのポッドキャストUnlocking Usで2021年6月23日からブッククラブをやっていくことが発表されました。

スケジュールは以下のようになっています。

6月23日  Introduction

6月30日  Guideposts 1&2

7月7日  Guideposts 3&4

7月14日 Guideposts 5&6

7月21日 Guideposts 7&8

7月28日 Guideposts 9&10

The GiftsはWholeheartedな生き方をするための10の道標が章として成り立っている本ですが、それを2つずつ、ブレネーのポッドキャストUnlocking Usで紐解いていくというスケジュールになっています。

そこで、日本語で私もThe Gifts of ImperfectionのブッククラブをClubhouseでやることにしました。こちらのブッククラブは無料です。

ブレネー自身がやるUnlocking Usのポッドキャスト/ブッククラブは6月23日から始まるので、Clubhouseでのブッククラブは日本時間6月25日朝7時から、毎週金曜日の朝7時にやっていきたいと思います。

一番良いのはこの本を読んで、そして2日前に配信されるブレネーのポッドキャストを聴いて、クラハのブックラブで感想を話し合うというパターンですが、どちらかひとつしかできなくても大丈夫です。

また、Clubhouseというアプリの性質上、ルームの出入りは自由です。お仕事中の方、話せない方、毎回参加できない方でもお時間あればご参加下さい。

左が10周年記念ハードカバー、右が2010年発行のソフトカバー

本のほうは、今回、10周年記念のハードカバーが出ましたが、私は2013年に読んだので、久しぶりに読み返すか、くらいに思っていてわざわざハードカバーを買わなくても良いかな、と思っていたのですが、たまたま本屋で目にして、新しいバージョンは中身は一緒なものの、新しい序文とともに、本の最後にIntegration Indexというセクションがあり、本を読んでいる途中で気になったこと(理解できないこと、さらにリサーチが必要と感じること、感動した部分など)をメモできるようになっています。私は本の内容をを読んだそばから忘れるヒトなので、これはありがたい。早速購入してしまいました。

また、10周年記念として、ブレネーのウェブサイトには様々なボーナスコンテンツがあります。そのひとつがThe Wholehearted Inventoryです。The GiftsはWholeheratedな生き方(私は心からの生き方、と訳しています)をするために必要な道標を説いた本ですが、このInventorryでは、自分がいまどこまでWholeheartedな生き方が出来ているかをチェックできるようになっています。そしてブレネーは、The Giftsを読む前に、ぜひこのテストを受けて欲しいと書いています。私もやってみましたが、読み始める前に自分がどこまでできているのか自覚しておくのはとても良いと思います。結果は自分にメールするか印刷するかできます。

ClubhouseでのブッククラブはBrené Brown ブッククラブというクラブの下でやりますので、もしよければぜひクラブをフォローしてください。(クラブをフォローするとルームの通知が届きます)

ヴァルネラビリティ・アノニマスのルール

先日、Clubhouseにてヴァルネラビリティ・アノニマス(VA)の部屋を始めるということを書きましたが、それ以来3回開催しました。

VAの部屋では、定期的に部屋の趣旨やルールを説明していますが、ここにも記載しておこうと思います。今後参加してみたい方も参考にしてください。

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自己開示の為の共助グループ ヴァルネラビリティ・アノニマス

今日、第1回のヴァルネラビリティ・アノニマスの部屋をClubhouseで開催しました。塚越悦子さんと、齊藤桂吾さんにモデレーターとしてお手伝いいただきながら、ヴァルネラビリティってなに?というところから始めて、感情について話すことの大切さ、自己開示の奨めなどについて話しました。

ヴァルネラビリティ・アノニマス(以下VA)の部屋をやろうと思ったきっかけは、先日までブレネー・ブラウン ブッククラブで読んでいたRising Strong(邦題:「立て直す力」)の中で

Over the pas two decades, I’ve learned that what I really need is a Vulnerability Anonymous meeting – a gathering place for people who like to numb the feelings that come with not having control, swimming in uncertainty, or cringing from emotional exposure.

(以下、日本語版より引用)

二〇年かけて、自分にとってほんとうに必要なのは”弱みをさらすことを恐れない訓練をする”会合ではないかと思うようになった。気持ちを抑え込まない、未知の領域を手探りで進む、気持ちを解放するこころもとなさを克服したい人々が集まれる場が必要なのではないか。

と書かれていたことです。

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ニュースレター始めました&お知らせ

あっという間に2月も終わりですね。春はもうすぐです。先日、実家の母から桜の写真が送られてきて、懐かしくなりました。

ここ数ヶ月は、この「縁もゆかりも」ブログはポッドキャスト「はみだし系ライフの歩きかた」のショウノートを載せるスペースになっています。エピソードが配信されてから、ブログにショウノートを掲載するまでにかなり時間が開いてしまっていますが、現在その間を埋めるため努力中です。

ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、改めてお知らせです。

Substackにて、ニュースレターを開始しました。Substackはクリエイター・ライターをサポートできる有料システムのあるEmailニュースレターです。無料版と有料版があり、有料版は月$7USDです。このブログとどう内容が違うのかというと、まずSubstack版ニュースレターを購読して頂くとメールに直接投稿が届きます。そして、Substackの方が私の個人的な近況、時事ネタ、聴いたポッドキャストや観たTV番組に関する話題がメインです。

今読んでくださっているこのブログでは、もう少しエバーグリーンな内容、先に述べたようなはみライのショウノート、「1000冊紹介する」シリーズや、もちろんブレネー・ブラウンに関することを引き続き書いていきます。

「縁もゆかりも」Substack Ver.を購読するにはこちら

そしてこの場を借りてClubhouseでのお部屋のお知らせも。

日本時間3/4(木) 8:00AMから、はみライEp.125「『ハーフ』は止めて?ミックスルーツの人々に対するマイクロアグレッション」にご出演頂いたあんなさんClubhouseでお話します。エピソードを聴いた感想、コメントなどもぜひ直接お寄せください。

日本時間3/7 8:00AMから、「まるちゃんトーク」ポッドキャストのリチャードソン幸さん「ガラスの仮面」についてお話します。

日本時間3/7 12:00PMからは、塚越悦子さん斎藤桂吾さんとでEmotion Wheelを使って感情について考えよう、という部屋をやります。現代人は自分の感情について考えることがあまりない、という話を元に、さまざまな感情を輪にしたEmotion Wheelに出てくる感情を、みんなで訳してみよう、という試みです。こちらのイベントは課題つきです。こちらからEmotion Wheelの訳シートをダウンロードできます。

日本時間3/8 9:00AMからは、国際女性デーに寄せて、サルディ佐藤比奈子さんと、畠山かなさんとで「国際女性デー2021:フェミニズムとこれからについて語ろう」という部屋をやります。

また、これもブログではお知らせしそびれてしまったのですが、「Her Confidence Her Way」ポッドキャストのEmiko Rasmussenさんと、「ハッピー探訪Maya Gaja」ポッドキャストのスキナー朋子さんとでYour Voice Summitというポッドキャストや声での配信に関するバーチャルサミットを開催しました。全てのセッションは、YouTube チャンネルで無料で見れますのでぜひお時間のあるときに見てみて下さい。

ちなみに、最近朋子さんのポッドキャストにゲストとしてお呼び頂きました。ぜひ聴いてみて下さい!

そして最後に、2021年度のブレネー・ブラウンブッククラブの4月からの申し込みを近々開始します。このブログで発表しますので、まだの方はぜひ購読してください。