今日、第1回のヴァルネラビリティ・アノニマスの部屋をClubhouseで開催しました。塚越悦子さんと、齊藤桂吾さんにモデレーターとしてお手伝いいただきながら、ヴァルネラビリティってなに?というところから始めて、感情について話すことの大切さ、自己開示の奨めなどについて話しました。
ヴァルネラビリティ・アノニマス(以下VA)の部屋をやろうと思ったきっかけは、先日までブレネー・ブラウン ブッククラブで読んでいたRising Strong(邦題:「立て直す力」)の中で
Over the pas two decades, I’ve learned that what I really need is a Vulnerability Anonymous meeting – a gathering place for people who like to numb the feelings that come with not having control, swimming in uncertainty, or cringing from emotional exposure.
(以下、日本語版より引用)
二〇年かけて、自分にとってほんとうに必要なのは”弱みをさらすことを恐れない訓練をする”会合ではないかと思うようになった。気持ちを抑え込まない、未知の領域を手探りで進む、気持ちを解放するこころもとなさを克服したい人々が集まれる場が必要なのではないか。
と書かれていたことです。
先が見えない不安、自分の心の内をさらけだすことへの心もとなさ、傷ついてしまうのではというリスクを心配するあまり、ネガティブな感情を感じないように、感情を無視してしまったり、押さえ込んでしまう人たちがいます。
ただ、ネガティブな感情のみを選択して麻痺させることは不可能で、感情を麻痺させてしまうと、喜びや幸せなどのポジティブな感情まで感じることができなくなってしまいます。そして、十中八九、そのような状態は身体やメンタルヘルスにも影響を及ぼします。
ヴァルネラビリティを認め、自分の感情をさらけ出すことはまだまだ怖いと感じる人も多いでしょう。そんな人のために、ブレネーが提案しているのがVAです。
北米では、アルコール依存症の人達が集まる共助グループ、Alcoholics Anonymous(AA)、薬物依存の人達が集まるNarcotics Anonymous(NA)、そして依存症以外にも身近な人を亡くした人どうしのサポートグループなどがあります。不完全な人同士で集まり、ジャッジメント無しに、時には失敗しながらもなんどでもやりなおす機会が与えられる場所です。
私の今年の3つの言葉のうち、もっとも重要なものがSpace、つまり場所を提供するということです。そのために、ポッドキャストを配信したり、みんなが話を共有できる毎月のお話会を企画したり、Clubhouseでさまざまな部屋を立てていますが、このVAの部屋も不定期にはなりますが、みんなが心の内をシェアできる場・もしくはその練習をする場になると良いなと思っています。
今日の部屋は初回だったので、オープン(誰でも参加出来る)部屋にしましたが、今後はクローズド(クラブのメンバーのみ参加出来る)の部屋として開催していくので、今後参加したい方はぜひBrené Brown ブッククラブというClubhouseのクラブにご参加下さい。
今日は初回だったので、ヴァルネラビリティってなに?という話やブレネー・ブラウンの紹介などをした後、モデレーター3人がヴァルネラビリティを感じるときについて共有しました。私は、自分を「ライター」と呼ぶときに感じるこころもとなさと、子供が小さかった頃、学校でのママ友とのつきあい時に感じた気持ちなどをシェアしました。
その後、今後の参考にと、どういうことをVAでシェアするべきか、どういうことは避けた方が良いのか、という話から、信頼の話も少しでました。
その場にいる人に、自分のつらい体験や気持ちをシェアする際、どんなことならOKで、どんなことは避けた方がいいのでしょうか?
このヒントは、「ビー玉のびん」の話にも書いていますが、ヴァルネラビリティを見せるのは、ほんとうに信頼できる人のみにすべきであるとブレネーは書いています。
VAの部屋では言いそびれてしまったのですが、先日聴いたサイモン・シネックのポッドキャスト(余談ですが、VAの部屋をやっている際に桂吾くんが調べてくれたのですが、これまでで最も視聴されたTEDトークの中で、サイモン・シネック(Start with Why)は3位、ブレネー・ブラウン(傷つく心の力)は4位なのだそうです。二人は活動している分野も近いので、仲が良い様です)にブレネーがゲストとして出演していて、今回のVAでのトピックにとても近いことを話していました。
“Vulnerability minus Boundary is not a vulnerability” つまり、バウンダリー(境界)のないヴァルネラビリティは、真のヴァルネラビリティではないとのこと。
初対面の人達に、自分の夫との不仲についての話を赤裸々にするのは、ヴァルネラビリティでしょうか?NO。何故ならそこにはバウンダリーがないからです。バウンダリーのない人に、いきなり自分の中のもっとも辛い体験や暗い過去を打ち明ける際は、その動機がなんであるかをしっかりと見極める必要があるとブレネーは言っていました。それは単に自分に注目して欲しいだけかもしれません。
また、この会話の中で、サイモンは私たちは常に楽な方に楽な方にと流されていくとも言っていて、それに私もとても共感しました。
例えば、私が突然仕事をクビになったとします。
SNSに「仕事をクビになりました。辛いです。誰か、何か良い仕事の口があったら教えて下さい」と投稿することは、勇気がいることかもしれない。
それよりも、実際に一人の友人に電話をかけて、「実は、仕事クビになっちゃったんだよね。もし良かったら、話せる?」と打ち明けて、One on Oneの会話をすることのほうが、よっぽど勇気がいりませんか?
ブレネーは、そういった一対一の会話の方が、True Connection(真のつながり)をつくりやすいと言っていて、とても納得しました。
ビー玉のびんの記事でも書きましたが、信頼とは、そうやってひとつひとつ積み上げて行くものなんですよね。
私が最近よく言っていることの一つが、「正しいことは面倒くさい」ということです。SNSに投稿するのは簡単で、自分でも「私、がんばって自己開示してる!」という気になれるかも知れませんし、それさえも難しかった人にはそれだって充分勇気のいることだとは思いますが、それよりももっと大切な真のつながりをつくるには、面倒くさくでも、一人一人とのつながりをコツコツと作っていくことなのではないでしょうか。
これからもVAの部屋を不定期にやっていきますので、質問・またはトピックに取り上げて欲しいことなどがあればお気軽にメール下さい。
Clubhouseのブレネー・ブラウン ブッククラブはこちらから参加できます。
注:ヴァルネラビリティ・アノニマスのルールについても書きましたので、こちらも一緒にお読み下さい。
感想のコメント、メールはいつでも歓迎です。