2015年レビューと2016年の3つの言葉

あっという間に年の瀬ですね。あと数日で2015年も終わりです。
毎年、なんらかの形で、その年のレビューと、翌年のキーワードを決めていますが、今年もその記事を書く時期がやってきました。

2015年は、過去数年に比べれば良い年でした。何かと本当に大変だった2013年と2014年。2015年はなんとか、少し上向きの年にすることができて感謝です。

今年は40になりました。長男も高校卒業して今は大学で演劇を学んでいます。沢山の面白いプロジェクトに関わることができました。新しい体験も沢山経験しました。とても良い年だったと思います。

今年学んだ4つのこと:

1)「アート」は人生に必要不可欠なものである
今年は、ビクトリアの劇団、Intrepid Theatreの理事に就任し、沢山のお芝居やショウを観ることができました。どれも素晴らしかったし、感涙したものも沢山。そこで学んだのは、自分にしかできないこと、そしてやらずにはいられないことに全力を尽くして、人の前で発表することの大切さ。またものすごい才能に溢れる人達にも沢山出会えて、本当に感謝、感動です。

2)目に見えるものが必ずしも真実ではない
この夏、尊敬していた人が全くの嘘つきだということが判明して、すごくショックだったし。残念でした。私は直接関わっていなかったし、私が割り込んで行って解決できるたぐいのことではありませんでしたが、そういう生き方しかできない本人がかわいそうだったし、もちろん、影響を受けた周りの人にもとても気の毒な事件でした。

3)コミュニティの大切さ
40になったことをきっかけに、ジムに登録しました。うちから歩いて5分の場所なので、なんとか最低でも週に一回は通い続けることができ、平均週2回で通えました。もちろん週2回の運動だけでは痩せることはないけど、筋力とかスタミナはついてきたと実感しています。このジムは小さな個人経営のジムなのですが、コミュニティの結束がすごく、新入りの私もすぐに歓迎してくれました。単純だけど、行けば歓迎してくれるところには、人は行きたいと思うものなんだなーと実感。このおかげで何とか通い続けることができました。

4)意志あるところに道あり
実はこれは昔からあまりピンとこなかった格言ですが、今年はいくつか「もー絶対無理!」というようなことが、何故か不思議と達成できました。ネルソン・マンデラが言ったという言葉に「何事も、達成するまでは不可能に思えるものだ」があり、私も大好きな言葉ですが、今年はまさにこの言葉を実感した年でした。

毎年、その年フォーカスしたいことに関する言葉をいくつか選んでいます。
2015年の言葉はCREATEでした。今年はそのおかげかビデオポッドキャストもローンチできたし(英語版はまだだけど)、ブログも書いたし、絵も描いたし、編み物もしました。2015年はCOOKINGとCOMPASSIONもキーワードだったのですが、どちらもなんとか実践できたと思います。特に料理は、ニューヨークタイムスの料理サイトのアーリーテスターにもなり、いろんなレシピに挑戦しました。
先日書評を書いたBIG MAGICでも創造することの大切さを実感したので、クリエイティブなことは、これからもひきつづけやっていこうと思っています。

今年一番感銘を受けた本は、やはりブレネー・ブラウンの「Rising Strong」でした。この本を読んで、「心からの生き方」を(ただ語るだけでなく)実践し、沢山の人達とシェアする、ということを自分のライフワークにしようと決めました。(興味のある方は、Facebookのグループへどうぞ)

さてそれでは、2016年の言葉を発表します。
2016年の私のキーワードは、CURIOSITY, COURGE, BELIEVEです。

CURIOSITY-好奇心:少し前にエリザベス・ギルバートの「ハチドリの飛行」というビデオを観て、私はいろんなものに興味があるハチドリ派なんだ、と知りました。(このビデオに関しては「人生でやるべきことが見つからない人へ」というポストをご覧下さい)彼女の本、BIG MAGICにも、様々なことに興味を持つことがクリエイティブな生き方のもとであると書かれています。

COURAGE−勇気:勇気って、いろんな場面で口にされる言葉だと思うのですが、なかなか実践できている人が少ないと思うのです。何も生と死を分けるようなドラマチックな場面でなくても、ちょっとした勇気を試される場面って、日常生活の中に沢山あるんですよね。哀しそうな顔をしている友達に「どうしたの?」って声をかけること。荷物が重そうな人を助けてあげること。このようなほんの一瞬の決断を、勇気がないために無視してしまうことが私もこれまでにあったので、2016年はそんな些細なことでも無視せずに、勇気を出して触れ合って行きたいと思っています。

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ブレネー・ブラウンのRising Strongの中で特に好きだった一節が
“Integrity is choosing courage over comfort; choosing what is right over what is fun, fast or easy; and choosing to practice our values rather than simply professing them.” 

誠実さ(インテグリティ)とは快適さより勇気を選ぶこと;楽しく早く簡単なものより正しいことを選ぶこと;価値観を語るのではなく実際に行動で示すこと

とあります。何もしないでいるほうが遙かに快適で、楽なのですが、2016年はあえて行動で示す勇気を持ちたいと思います。

BELIEVE−信じること:先に書いたネルソン・マンデラの言葉のように、今年は不可能だと思っていたことを実現することができました。そして、今まで実現できなかったのは、おそらく私が本気で信じていなかったからでは、と気がつきました。信じ方が足りなかったのかも。2016年は達成したいことを強く信じてがんばりたいと思います。

みなさんはどうですか?もしキーワードを選ぶことがあったら、ぜひコメント欄で教えて下さいね。

今年も読んで下さってありがとうございます。来年もよろしくお願いいたします。良いお年を。

ブレネー・ブラウンのオンラインコース(無料コースも!)

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このブログでも何度もご紹介しているブレネー・ブラウンですが(彼女の最新書Rising Strongのレビューはこちらです。)、COURAGEWorksというオンラインコースを提供することになった、という発表があったのはこの秋ごろでした。

今までにも、ブレネーはUdemyというe-ラーニングのサイトや、オプラ・ウィンフリーのOprah.comでもこれまでにコースを提供してきています。以前彼女のサイトで提供していたコースははメンタルヘルスに関わる職業の人(カウンセラーやセラピストなど)向けだったりしたのですが、今回初めて、彼女自身のサイトCOURAGEWorksで2016年1月から一般に向けてのオンラインコースを提供することになります。

COURAGEWorksってなに?という人へ。サイトにはこのように書かれています。

COURAGEworks is an online learning community developed to bring Brené Brown’s research on courage, vulnerability, shame, and worthiness to a global audience. Offerings include eCourses, workshops, and interviews developed for anyone who is ready for braver living, loving, and leading.

COURAGEWorksはブレネー・ブラウンの勇気、心の脆さ、恥そして価値に関する研究を世界中の人々に提供するオンライン学習コミュニティです。さらに勇気のある生き方、愛し方、そしてリーダーになる準備のできている人のために作られたeコース、ワークショップ、そしてインタビューを提供しています。

CourageWorksで1月から開始されるコースは以下の3つです。(クリックすると詳しい説明ページに飛びます。)

LIVING BRAVE SEMESTER
ブレネーによるコースとライブ質問セッション
自分の存在を示し、自分なりの人生を生きるとはどういうことかー勇気を出すこと、脆さを受け入れること、そして果敢に挑戦を続ける人生についてくる課題にどうやって対応していくかを探るオンライン学習
必読書:Daring Greatly(邦訳:「本当の勇気は、『弱さ』を認めること)とRising Strong
対象者:個人、友人同士、カップル、兄弟姉妹、少人数のグループ、コミュニティ、ブッククラブなど
開始日: 2016年1月11日(年一回のみ)

DARING LEADERSHIP
ブレネーによるコース
果敢に挑戦するリーダーシップとは快適さよりも勇気を、早くて簡単なことよりも正しいことを選ぶことであり、信じる価値をただ述べるだけでなく実際に行動で示すことを意味します。勇敢なリーダーは仕事上でも個人レベルで接することが重要だと知っています。
必読書:Daring Greatly(邦訳:「本当の勇気は、『弱さ』を認めること)
対象者:チーム、リーダー、起業家、組織のチェンジメーカー、カルチャー変革者
開始日:2016年1月11日 (オンデマンド)
LEADERS RISING
ブレネーによるコース
勇敢に挑戦する機会が増えるほど、失敗することも増えるものです。失敗、失望、また間違いを犯してしまったあとに力強く立ち上がるプロセスこそが私たちの勇気が試される時であり、個人の、そして組織としての価値観が築かれる時です。強く立ち上がるリーダーはストーリーの中に歩み行って、真実と向き合います。
必読書:Rising Strong
対象者:チーム、リーダー、起業家、組織のチェンジメーカー、カルチャー変革者
開始日:2016年1月11日 (オンデマンド)

私は最初のLiving Brave Semesterに登録しました。日本の方ですとまだRising Strongの翻訳が出ていないので(いつでるんだろう?まだなら翻訳したい。。。)原書で読んでいる人のみになってしまうのでなかなか参加が難しいかも知れませんが、原書をとりあえず買って読み進めながら参加したい、という方がいたらお勧めです。

先日、このブログにコメントをいただいた中澤さんから、日本語で語りあえる場所があったら、、、というメールをいただいて、コース内容について語り合えるコミュニティをFacebook上に作ることにしました。もっとも、上記の理由でコースに参加できない人もいるかも知れませんので、とりあえずは、ブレネー・ブラウンの本が好き・Wholehearted Livingを実践したい・Daring GreatlyやRising Strongについて語りたい、という方は一言コメントまたはメール下さい。招待状を送ります。

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そして、先日ブレネーのサイトからメールで、「The Anatomy of Trust/信頼の構造」というコースを特別に無料で提供するというお知らせが来ました。COURAGEWorksに関して「どのようにコースが勧められるのか」など、多くの質問が寄せられたため、特別にこのコースだけ無料で開放しているそうですので、興味のある方は是非登録してみて下さい。信頼、って人との意義ある関係を築くにあたって必要不可欠なものですが、なかなか定義するのが難しい概念ですよね。そんな信頼について学ぼうというコースです。私も早速登録して、最初のビデオを見てみました。早速、ビデオの中でも、「もっとも大事なことは、コースについて友人やパートナーと語り合うこと」とブレネーも言っているではありませんか!というわけで、Facebookのグループでは、とりあえずこのコースについて語ってみたいなと思っていますので是非参加為て下さいね。(このサイトからコースを選んで、そのままチェックアウトに進めば$0になります。)

いつも通りコメント、メール歓迎です。

人生でやるべきことが見つからない人へ

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オプラ・ウィンフリーと言えば世界で最も有名な黒人女性でテレビ司会者ですが、「オプラ・ウィンフリー・ショウ」が終了してからは、専ら自分の局「オプラ・ウィンフリー・ネットワーク(OWN)」で活躍しています。女性にとても人気があるオプラですが、私はあまり彼女の番組を見ないのでファンではないのですが、彼女がプロデュースしているSuper Soul Session というTEDのような講演シリーズでは私が大好きなブレネー・ブラウンが登壇したりしています。

今日はそのSuper Soul Sessionsで講演したエリザベス・ギルバートのビデオをご紹介します。

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エリザベス・ギルバートといえば「食べて、祈って、恋をして」で有名なベストセラー作家ですが、Facebook、インスタグラムをはじめ、ソーシャルメディア上でも読者と幅広く交流していることで人気があります。

この日の彼女のトークは、「ハチドリの飛行」というものです。

登場するなり「今日は、絶対に自分がするとは思わなかったことを話します。『情熱』に対する反対論です。」と切り出します。

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Rising Strong(3): 助けることと、助けを求めること

IMG_4356ブレネー・ブラウンの最新書、Rising Strongの紹介を3回にわたって書いています。パート1 パート2


本書の後半は、様々なケーススタディとして、プライベートでまたは仕事で傷ついたり、失敗したりした人達がいかにして力強く立ち上がっていったかを紹介しています。アルコール中毒なのに助けをもとめようとせず、両親とも話そうとしない姉をもった女性の話や、仕事の大きなプロジェクトで自分の意見を言わなかったがためにチームに大きな負担をかけた男性の話など、まさにFace downで突っ伏した状態から、いかに勇敢に立ち上がっていったか、本人談とともに紹介されています。

失望と期待、哀しみ、許しなどがキーワードとなり、このような様々な感情からいかに回復するかが詳しく説明されています。

第8章では、とくに助けを請うこと、特権(Privelege)、一方的な判断を下すこと(Judgment)などについて書かれています。これは、特に私にも個人的にぐっと来た内容でした。著者はホームレスの人達と目をあわせることなく、自分は充分な手助けをしていないと感じ、恥(Shame)を感じます。

私にも全く同じ経験があります。
ビクトリアは気候が温暖なため、ホームレスの人達も多いようです。ダウンタウンを歩いていると、道ばたで小銭を集めている人達を沢山みかけます。ダウンタウンでなくても、車を運転していると信号待ちのたびに手作りのサインをもった人達が小銭をくれと言ってきます。

著者と同じように、私もできるだけの手助けはしているつもりでした。小銭があれば渡し、グラノーラバーやガムなどをいつも持ち歩いて、小銭と一緒に渡すこともあります。ホームレスのシェルターでボランティアしたこともあります。
それでも。

小銭をあげた時は、もっとお金をあげられない自分に対して。
お金をあげる、という行為に関して。自分の特権に関して。
そしてお金を渡せないときはそのときで、ホームレスの人達にかまってあげられない自分が冷たい人間のような気がして。

私も必ず、毎回恥を感じていました。助けてあげても助けなくても、毎回恥を感じていたのです。

この章では、著者自身の 半年以上にわたる特権(Privilege)と助けを求めることに関してのRumbleが詳しく描かれています。
著者がたどり着いた結論は、自分が助けを求めることが弱いことであったり、またそのことに関してネガティブなイメージを持っているからこそ、恥を感じていたのだというもので、これも私自身、はっとしたことでした。

人を助けることは簡単です。でも、助けを求めることはとても難しい。なぜなら、助けを求めることは弱さを認めること、また喜ばしくないものだと、一方的に決めつけているからではないでしょうか。

困っている人を助けるのが苦にならない人は、沢山いるでしょう。困っている人達に対して、「面倒なやつだ」「弱い人間だ」と思う人はあまりいないのではと思います。それではなぜ自分が助けを求めることがそんなに大変なのでしょうか?

助けることに価値を見いだしている人は、助けを求めている人をジャッジしてしまっていることになる、という著者の研究結果には納得すると同時に反省もさせられました。
また、著者の研究グループでも、「どのような人を信頼するか」という問いに関して、最も多かった答えが「助けを求めて来る人」という結果がでたそうです。

最近みた著者のビデオの中でも、「人に助けを求めない人を信用できない。それは自分を愛していない人が私にI love youと言ってくるのと同じだから」という言葉があり、これも本当にそうだな〜と深く頷いてしまいました。

3) Revolution

Rising Strongプロセスの最後はレボリューション、革命です。

これまで学んだRising Strongプロセスを、プロセスのままで終わらせず、学んだことを実行(Practice)してこそ、力強く立ち上がることができるのだと最後は締めています。

最後にはManifest for Brave and Brokenheartedというマニフェストも載っています。

これまで読んできたプロセスも、ただ読んで納得するのではなく、日々の生活に実際に使っていくこと。

そして初めて、心からの生き方を実践できるのではないでしょうか。

どこから翻訳書がでるのか気になりますが(まだ決まっていないなら私翻訳したい。。。)是非手に取ってみて下さい。

★★★★★

自分を少しでも変えたい、という方にオススメの本です。

本書に関して話したい〜という方のコメント、メール歓迎です。









Rising Strong (2):勝手に造り上げているストーリーを発見する

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前回はブレネー・ブラウンの最新作Rising Strong(邦題:立て直す力)にて、勇気を出して挑戦した時に、それでも前のめりに倒れてしまった場合にどうやって立ち上がるか、そのプロセスの第一歩をご紹介しました。

まずはReckoning、位置確認をして自分がどんな感情を体験しているのかを自覚します。怒っているのか、恥を感じているのかなど、自分の感情に好奇心をもって正面から向き合います。

Rising Strongプロセスの第2歩はRumbleです。

2)Rumble

Rumbleとは日本語に訳すと「ぶるぶる震える」とか「轟音を立てる」といった意味ですが、ここでは前のプロセスのReckoningで発見したものをさらに揺さぶってその真実を発見するといった意味です。

著者はまずSFD(Shitty First Draft)という、編集の入らない思いっきり正直な心の内を書き出すことを勧めています。他人に読まれるものではないので、文法なども気にせずにとにかく正直に、自分の中で何が起こっているのか書き出します。

ここでおそらく本書のなかで最も重要なポイントが出てきます。人間というものは元来物語が必要な種であることを説明した著者は、私たちはたびたび自分の頭の中で勝手にストーリーを創り出してしまうのだと言います。限られたデータと想像されたデータをブレンドして筋が通り感情的に満足できるストーリーをなんと呼ぶでしょうか?陰謀説です。

先に書いた「トラビス湖での話」でも、著者は夫に無視されたと感じたあと、泳ぎながら自分の頭の中で勝手なストーリーを創り出してしまいます。「私のこと水着が似合わないって思ってるんだわ」「なんて冷たい夫なの」など。

このSFDを書くときに、「The story I’m making up is..(私が創り出しているストーリーは。。。)」という問いかけは、非常に便利です。本書に出されている例をひとつ挙げると、著者はアメリカの退役軍人をささえるチャリティ団体 Team Red, White and Blue(Team RWB)を勇気ある挑戦と心からの生き方をするべくサポートしてきたそうなのですが、この団体の役員の一人は、「私が創り出しているストーリーは」を知って非常に役立っていると言います。

まだ比較的新しい非営利団体の最初のスタッフとして、この役員の男性は常にできるだけ倹約するようにしていました。ある程度団体が大きくなり、財政が安定してきた今でも、古い癖が抜けず、会社のクレジットカードで自分の食事代を払ったりはせずにいたそうです。ある日、ワシントンDCに出張に行った際、チームメンバーの一人が話をしたいと言ってきました。何かあったのかと問いかけると、彼は「出張の時は会社のクレジットカードで食事代を払ってもらえませんか」と言ってきました。何故かと問いかけると、「だって、私が創り出しているストーリーは、私が自分の食事代を会社のカードで払うたびに、あなたは私のことを非難しているからです。」この男性はもちろんそんなことは夢にも思っていなかったのでとてもびっくりしたそうですが、このツールを使うと、お互いに勝手なストーリーを造り上げることを防ぎ、正直な会話ができると思うのです。こういうことって、普段の生活でも誰にでもあることだと思います。

Reckoning、RumbleというRising Strongプロセスを紹介したあとは、ケーススタディとも言える逸話が数章にわたって紹介されています。

「ストーリーテラー研究者」と自称するだけあって、著者の逸話はいつも面白いのですが、面白いなかにも正直で、時には胸が痛くなるようなエピソードが綴られています。
特に、第6章で紹介されているエピソードでは、講演先での失敗とそこで出会った人との経験(ネタバレはしませんが、楽しい話ではないです)を通して、とても大切な質問を投げかけています。
「一般的に言って、世間の人達は彼らなりのベストを尽くしていると思いますか?」

本書を読んでもらえればわかると思いますが、この質問にどう答えるかによって、「心からの生き方」にどのくらい近いのか、参考になると思います。
この章は私も読みながら思わず涙してしまったくらい、心に響くものがありました。私にも思い当たる節があったからです。

パート3に続きます

Rising Strong (1):失敗や傷心から力強く立ち上がるには [1000冊紹介する002]

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2013年にTEDトークで有名なブレネー・ブラウンの「Daring Greatly (邦訳:「本当の勇気は「弱さ」を認めること」を読んでとても感銘を受けました。(そのとき書いたブログはこちら

著者が目指すところのWholehearted Living (邦訳では「偽りのない生き方」と訳されていましたが、翻訳書が出る前に私が書いたブログでは「心からの生き方」と訳しています)をするためには、心がもろく、弱く、傷つきやすい状況(将来に関して不安に思うこと、自分の作品を世に発表すること、自分の意見を正直に伝えること、等々)に、どんなに怖くても勇気をだして挑戦することが必要不可欠だと著者は書きました。セオドア・ルーズベルトの有名なスピーチにあるように、沢山の聴衆が見守る中、顔中血と砂まみれになって倒れたとしても、大切なのはそれを笑うような人間ではなく、倒れたとしてもまず挑戦をした人間の方だと。

Daring Greatlyではとにかくまずは「アリーナ(競技場)」に出て行き、本当の自分をさらけだすことを説いています。これは、必ずしも人前に出ていくことだけを指しているのではなく、「がんを宣告された妻と遺言の準備をすること」「浮気をしていると打ち明けること」「破産したと夫に告白すること」などという、普通なら怖くて、やらずに逃げ出したくなるようなことから「子供を亡くした友人に電話をすること」「離婚後初めてのデートに行くこと」など、普段の日常でのちょっとした勇気が必要なことまで、怖かったり、苦手でつい避けてしまうようなことをも含むメタファーです。

最新書の「Rising Strong」ではそれでは勇気を出して「アリーナ」に出ていき、本当の自分をさらけだしたときに、ルーズベルトのスピーチのように倒れてしまったら。そしてその際どのようにして起き上がるのか、について語った本です。

この本は意図せずに3部作の最後になっており、

Gift of Imperfection(邦題:「ネガティブな感情」の魔法: 「悩み」や「不安」を希望に変える10の方法 ) – Be You.

Daring Greatly – Be all in.

Rising Strong – Fall. Get up. Try Again.

というのがテーマになっています。

このRisign Strongに私もとても感銘を受け、思わず2回通して読んでしまいました。

英語のことわざに「Jump and the net will appear」というものがあります。「勇気を出して飛べばたいていの場合受け止めてくれるネットが表れるものだ」という意味で、私も好きなことわざですが、人生必ずしも毎回ネットがでてくるわけではありません

勇気をだして行動を起こしたのに、思いっきりコケてしまったとき。何かがきっかけで気がついたら恥ずかしい状況に陥ってしまったとき。著者はこのような状況をルーズベルトのスピーチのたとえを使って「Face down(突っ伏した状態)moment」と呼んでいます。

本に書かれている例をあげてみましょう。「勇気ある挑戦」「アリーナに出て行くこと」は自分の意見を言ったり行動を起こすことだけにあてはまるのではなく、喜びや感動を感じた時にそれを恥ずかしがらずに表現することも含まれます。

著者のブラウン氏はテキサス出身ですが、子供時代の夏をすごしたトラビス湖に、夫と子供達を連れて夏の休暇を過ごしに行きました。

夫と二人で早朝湖を向こう岸まで泳いでいる時に、折り返し地点についたとき、ふと彼女は喜びと感動に圧倒されました。喜びや感謝を表現するのって、時には照れくさかったりして、実はとても勇気がいることだったりしますよね。これも、Vulnerabilityのひとつです。長年「心のもろさ」を研究してきた著者は、こういうときにVulnerableになって自分の本当の気持ちを表現することが、「心からの生き方」をするために必要不可欠だと知っているので、いったん休憩をする夫に向かって、「ねえ、ここに来ることにして本当に良かったわ。なんて美しいの」と夫に話しかけました。普段は、彼女よりも感情を表すことが得意な夫なので、きっと同じような感動の返答を期待していたのですが、夫が言ったのはそっけない「ああ、水も良い感じだ」の一言だけ。

自分と同じテンションになってくれると思った夫のあまりにもそっけない返事に、最初は「私が言ったこと聞こえなかったのかしら」と思う著者。次第に、恥ずかしさがこみ上げてきます。

引用すると:

One poetic bid for connection was already outside my comfort zone—but reaching out again felt scary and possibly stupid. But I knew Steve would do it.

せっかく勇気を出して胸のうちを打ち明けたのに、素っ気ない対応をされ、そのうえもう一度挑戦するのは怖くて、しかもバカみたい、と感じた著者。でも長年まさにこの研究をしてきた自分に「もういちど勇気をだしてみよう」と励まします。

「なんて素晴らしいの。ここにこれて本当に良かった。あなたにも近くなれた気がする。」

二度目の語りかけにも、夫のスティーブ氏は「うん。良い泳ぎだ。」とだけ言い残すとさっさと泳いでいってしまいました。

著者はこの時に最初の反応を “This is total horseshit” と書いています。訳すのは難しいですが、「はあ?何それ?」っていうリアクションだと思って下さい。「屈辱を感じればいいのか敵対心を感じればいいのかわからなかった」とも書いています。

その後反対側まで泳ぎながら、著者は頭のなかで様々なストーリーを創作します。「私が着てる水着が似合わないからだわ」「25年前に比べたら年食ったなって思ってるに違いない」

こういう経験がある人は沢山いると思います。せっかく勇気をだして心を開いたのに、相手がそれを受け止めてくれなかった時。ひどい場合には誤解されたり、笑われたりすることもあるでしょう。

話の結末だけを先に話すと、夫のスティーブさんはけしてブラウン氏をないがしろにしていたわけではなく、彼には彼なりの理由があったのですが、それは本を読んでみて下さい。

この実話は、何度も本書の中で「トラビス湖での話」として出てきますが、このストーリーを例にとって、著者は、いかに「face down」の状態から「力強く立ち上がるか」を教えてくれます。

このRising Strong プロセスは三つの課程をたどります:

1)The Reckoning

海事用語で、Dead Reckoningというと船位計算、つまり現在位置の確認ことですが、まず倒れたら、一体何が起きたのかを確認すること。自分の感情に好奇心を向け、どんな感情を体験しているのか確認すること。

−何が起こっているのはわからないけど、とにかく隠れたい。

−誰かを殴りたい。

ーとにかくオレオが食べたい。それもたくさん。

ー残念に思う、後悔している、傷ついている、混乱している、怖がっている、心配している。。。など

先ほどの「トラビス湖の話」を例に出すと、著者のReckoningは「スティーブに心を開いたのに無視された。怒りと恐れの混じった感情」となります。

まず、自分の感情の位置確認をすること。そして、何故自分がそう感じているのか、好奇心をもって調べること。これが、プロセスの1番、レコニングです。

パート2では次のプロセスを説明します。

 

 

 









[縁もゆかりも 002]自分らしさってなに?

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ビデオポッドキャストの第2回は、福岡でコラムニストや、女性のためのイベント企画をされている須藤美香さんにご出演いただきました。

Daring Greatly (邦題:本当の勇気は「弱さ」を認めること)を書いたブレネー・ブラウンのファンということがきっかけて知り合った美香さん。実際にお会いしたことは2回だけなのですが、彼女と話すといつもディープな方向に話題がいく、かけがえないの友人です。

そんな美香さんと、今回は「自分らしさ」についてお話しました。日本にいると、結構回りの目が気になってしまう。。。という話や、お互いライターとして、どういった書き方をしていくか、など、ワインを飲みながら、笑いっぱなしのあっというまの30分でした。

ビデオの感想、ぜひ教えて下さいね。あなたにとって、「自分らしくある」とはどうあることですか?









Daring Greatly: 挑戦する勇気

あっという間に2013年も最初の2週間を過ぎようとしています。ご挨拶が遅れましたが、今年も宜しくお願いしますね。

私の周りには新しい仕事、新しいプロジェクト、新しく子供が産まれる人などが沢山居て、巳年らしく、脱皮して新しい事にチャレンジするぞーというエネルギーがみなぎっています。私ももうすぐ新しいプロジェクトが始まるので楽しみです。(詳細は後日)

さて、新年というと、いろいろと目標を決める人が多いと思うのですが、何か決めましたか?私の周り(オンラインでもオフラインでも)では「毎年新年に目標決めても数ヶ月経つと忘れちゃうんで意味無し」という人や、「新年だからって何故新しい目標を決めなくちゃいけないの?思いついた時にやれば良いのよ」という人も居て、最近のトレンドとしては、「1年の抱負」というのはあまり人気がないみたいですが、やはり新年を大切にする日本人としては、何か抱負、目標を決めたいなと思う私です。

私もいくつか目標を決めましたが、今日はその中でも今年一番フォーカスしたいものについてお話します。
年末に、TEDTalkで非常に有名なブレネー・ブラウン(Brené Brown)の最新著書Daring Greatlyを読み、非常に感銘を受けました。少なくとも、この数年で読んだ本の中では、最も重要な本だと思います。日本語訳がいつ出るのかわかりませんが(注:翻訳版は「本当の勇気は「弱さ」を認めること」)、彼女のTEDトークはここで見れます。(日本語訳付き)

彼女は今では様々なカンファレンスに引っ張りだこのスピーカーで、北米では今更彼女の紹介をするまでも無いのですが、彼女の本職はテキサスの大学の研究者で、主に人間の弱さと恥について研究している人です。私は彼女のTEDトークを見てとても感動して、彼女のブログを読んだり彼女の本を読んだりしていましたが、この最新刊にはまさにうちのめされました。

彼女の話す「弱さ」—英語ではVulnerability(ヴァルネラビリティ)と言いますが—とは私たちが日常で生活して行く上で誰もが経験する、「不安感」や「もろさ」の事です。その弱さとは一体どういうことなのか、例をあげると:

—助けを求めること

—ノーということ

—自分のビジネスを立ち上げること

—夫や妻をセックスに誘うとき

—ガンにおかされた妻と遺言状の準備をすること

—子供を亡くした友人に電話をすること

—離婚後初めてのデート

—仕事をクビになること

—恋に落ちること

—彼氏を初めて親に紹介するとき

—怖がっていると認めること

—人のうわさ話をしている人をとめること

—許しを乞うとき

—新しいことを始めるとき

—3回の流産のあと また妊娠すること

—公共の場でエクササイズするとき

…きっと誰でも経験があると思います。私だって、パーティで知らない人ばかりの時、Vulnerableに感じます。学校で、授業について行けていないときに先生にあてられないかドキドキすること—それもヴァルネラビリティです。


ブレネーは、こういった弱さに勇気を出して立ち向かうことこそが、Wholehearted Livingへの近道だと言います。それでは、Wholeheartedとは一体どういうことでしょうか?
日本語に訳すると「心からの生き方」と言えるでしょうか。ブレネーによる、Wholehearted Livingのガイドの一部を紹介すると、
—他人がどう思うかを気にしないこと
—完璧であることに執着しないこと
—確かさを求めないこと
—人と比べないこと
—心配性を克服すること
—自分を疑わないこと
—自分をさらけだすこと

などだそうです。

本の内容についてはいくらスペースがあっても書ききれないので、是非本を読んでみてください。タイトルのDaring Greatly というのは、セオドア・ルーズベルトのスピーチから取ったそうで、ちょっと長いですが抜粋すると:
“It is not the critic who counts: not the man who points out how the strong man stumbles or where the doer of deeds could have done better. The credit belongs to the man who is actually in the arena, whose face is marred by dust and sweat and blood, who strives valiantly, who errs and comes up short again and again, because there is no effort without error or shortcoming, but who does actually strive to do the deeds; who knows great enthusiasms, the great devotions, who spends himself in a worthy cause; who at the best knows in the end, the triumph of high achievement, and who at the worst, if he fails, at least he fails while daring greatly…”

「重要なのは批評家ではない: 強い男がつまづいたことを指摘したり、もっと良くやれたはずだと言う人間ではない。称賛に値するのは実際にアリーナの中で、塵と汗と血で汚れた顔で勇敢に奮闘し、何度も何度も間違いを犯し、目標に及ばないものの—何故ならあらゆる努力は失敗と欠点無しにはあり得ないからだ—それでも行動を起こす人間である;熱心さと情熱を持ち合わせ、価値のある信念に自分を費やし—最良の場合には最後には勝利の達成を、そして最悪の場合には、少なくとも 勇敢に挑戦しながら失敗したと知っている。。。」

失敗しても、恥をかいても、それでも勇敢に挑戦する人間の方が、それを指差して批評したり笑ったりする人間よりもずっと「心から」生きている人間なのだ、というブレネーのこの本には、ある意味人生変わっちゃうくらい感銘を受けました。なので、私の2013年の目標の一つは「Practice Wholehearted Living – 心からの生き方を実践する」ということです。

まずはぜひ上のビデオを観てみてください。日本ではまだまだ人間の弱さに関する対話が少ないと思うので、このブログででも、ソーシャルメディア上でも、興味のある人と色々話せたら良いなと思います。