2018年良かった本その2 : Forgiveness【1000冊紹介する-012】Day 3

今年読んで良かった本の2冊目は、マーク・サカモト氏によるForgivenessという本です。

この本は2018年のCanada Readsというおすすめ本コンペティションの優勝作品となり、前年に出版された本にも関わらずベストセラーになりました。日系カナダ人の書いた本ということで日系コミュニティでも話題になり、多くの人が手に取ったようです。私も含め。

私は本を読む時にはある程度本の内容を知っておきたいと思うタイプです。この本は、日系カナダ人が書いた本で、第二次世界大戦中に起こった日系人の強制収容のことに触れているということまでは知っていましたが、それ以外は何も知らずに読み始めました。

本はマークのおじいさん、ラルフの生い立ちから始まり、やがて父方の祖母、ミツエの生い立ちにも触れます。最初は、「これって単に彼のファミリーヒストリーを辿るメモワールなのかな」と思っていたのですが。(それならそれで特に問題も無いのですが)

戦時中の話では、香港にカナダ軍として出征し、そのうち日本を敵に戦うことになったラルフの話と、ブリティッシュコロンビア州で日系カナダ人として産まれたミツエが、「日系」であるというだけで、敵国の国民とされ、強制的にアルバータ州に移動させられたなどが交互に語られ、読むのも辛い部分でした。

その後、話はマークの母親の話になります。最初は、「あ、こんなこと書いちゃっていいのかな」というかなりプライベートな話がでてくるのですが、読み進めていくうちに、この本のテーマがなんであるか、理解できました。タイトルそのまま、「Forgiveness」がテーマなんです。

最後は辛いシーンもありますが、はっとするほど美しくまとまっており、感動しつつ読み終えました。

9月に全カナダ日系人協会のAGMでウィニペグに行った際、マークさん本人に会うことができて光栄でした。彼はパブリックスピーカーとしても非常に才能ある方だと思いました。

日系カナダ人の歴史は、メインストリームの文化ではあまり触れられないので、このCanada Readsという賞を取ったことで、多くの方に手にとって欲しい本だと思いました。とても良い本で英語もそこまで難しくないので、ぜひ読んでみて下さい。