【1000冊紹介する021】猫を棄てる 父親について語るとき

日本から本を送ってもらうことになったので、便乗して、村上春樹の新作も一緒に送って欲しいとお願いしました。「猫を棄てる 父親について語るとき」プライベートなことに関しては口が重いことで知られる著者が、珍しく、父親について語った本。そんなに厚い本ではないですが、ほぼ一冊まるごと父親の一生を追っています。まったくの外からの邪推ですが、ご自分も70を過ぎられた(これが未だにちょっと信じられない)春樹氏が、自分と家族のために父親の一生を書き留めておきたいと思われたのではないでしょうか。

内容はほんとうにそれだけで、父親の一生をたどり、ところどころに春樹氏の思い出が綴られているだけです。

本の内容とは逆にはっとさせられたのがイラストレーションで、高妍さんのイラストがふんだんに入っていて、どれも本当に美しい。イラストだけで、電子書籍でなく紙の本を買う価値があるなと思いました。