「日本における人種差別、多様性、インクルージョンについての考察」イベント報告

日本における人種差別、多様性、インクルージョンについての考察 ポスター
写真提供:SHO
写真提供:SHO

このブログには書く時間が無かったのですが、6月24日に、「日本における人種差別、多様性、インクルージョンについての考察」というオンラインイベントを開催しました。現在アメリカで起こっている人種差別に対するデモ活動、Black Lives Matter運動について、オンラインでニュースや、いろんな人の意見を見たり聞いたりすることが増えました。そんな中「日本には人種差別がない」また対岸の火事状態で自国のことはさておき「アメリカは怖い」などという意見をあまりにも多くみるようになり、危機感を感じて急遽企画したイベントでした。

イベントは私のポッドキャスト「はみだし系ライフの歩きかた」と、当ポッドキャストのお友達ポッドキャスト、Super Smash Hoesの二人 Fahreenとエリカさんとの共催になりました。またTwitterでお友達になったPenguさん(彼女には近々ポッドキャストにゲストで出て頂きます)が裏方として素晴らしい助けになったことにここで感謝します。

パネリストは5人。従軍慰安婦についてのドキュメンタリー「主戦場」(はみライ第96回で話しています)の監督ミキ・デザキさん、沖縄と福岡に祖先を持つ詩人のショウさん、元日本でのアイドル兼グラビアアイドルで今ではセックスワーカーの人権保護のアクティビスト、アミナ・デュ・ジーンさん、国際交流活動をしているバルバドス出身のドーン・スプリンガーさん、日本の労働組合で働きヒップホップアーティストでもあるジェイロン・カーターさん、そしてアクティビストのエリカシミズさんでした。

日本語の話せるパネリストが2名、それ以外は英語の方が強かったので、10名の通訳の方にボランティアいただきました。アリソン牧子さん、マーサー佳奈さん、リーガン美香さん、畠山利恵子さん、箕島綺譚さん、アメッドゼバさん、塚越悦子さん、松本にいなさん、川口健太さん、本当に、ありがとうございました。

イベントに登録頂いたのは254名、うち上智大学のクラスは授業のアサイメントとして指定頂き、登録料を免除させていただきました。それ以外の殆どの方からは1000円の登録料を徴収させていただきました。経費(Zoomライセンス料)や手数料(ペイパル)を差し引いた残金は全て以下の二団体に寄付します。

1.反レイシズム情報センター

反レイシズム情報センターは頻発するヘイトスピーチと増大する日本のレイシズム(民族差別)をなくすために、若手研究者・NGOスタッフ・学生が発足させた団体で、ヘイトスピーチや差別のない社会の実現を目指しています。

2.Save Immigrants Osaka

2018年にできた市民団体でNPOではありませんが、大阪出入国管理局による在留資格のない人たちへの人権侵害に対する抗議行動や大阪入管に強制的に収容されている人や仮放免という形で一時的に外にでられるようになった人たちの支援等を行っています。収容されているのはアフリカや中東からの難民、南米からの日本にルーツのある移民、それからベトナムなど留学生・技能実習生だった人たちが中心です。

寄付金の使い道としては、被収容者の方への差し入れ品(テレホンカードや日用品)の購入、仮放免者の生活支援(家賃、光熱費、生活費)になるとのことです。仮放免で外にでられた人たちは一応の自由を得たものの金銭面で苦しんでいる人たちばかりですし、中の人たちも、家族や弁護士と連絡をとるためのテレホンカードすら買えないという人ばかりなのだそうです。

最終的に集まった寄付金は13,3067円になりました。

参加費はPaypalで徴収しましたが、お一人、Paypalが使えないので郵便振り込みを希望された方がいらっしゃいましたので、全額は上記の金額プラス1000円となり、13,4067円となります。

ですので各団体への寄付金額は67,033円となります。

週明けに、日本の口座から、2団体に振り込む予定です。寄付いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

イベントでは、各パネリストさんからの実体験や、専門にもとづいたコメントを頂きました。イベントで聞いた質問は以下です。

Q1. 2月に起こったアマド・オーブリーさんの殺人事件そして5月に起きたジョージ・フロイドさんの死を得て、ソーシャルメディア上で人種差別について語る機会が増えましたが、その際よく見かけるのは「日本には差別がないから」とか「アメリカは怖いね」などと言うコメントです。これは本当だと思いますか?日本における人種差別について、みなさんの体験またはコメントをお聞かせください。

Q2. 日本は島国で、単一民族国家ということからなかなか多様性に対して非寛容だと言われてますが、日本社会はどのように変えていけると思いますか?

Q3. トークニズム(見かけだけのダイバーシティ)にならず 本当にインクルーシブ(包括的)な場所をつくるためにはどうすれば良いと思いますか?

Q4.反人種差別主義者であることと、インクルーシブであることとの違いとは何でしょうか?

Q5. アメリカで起こっている反人種差別デモに関して、暴力や略奪が起こっているので、支持できないという声も聞きます。こういう場合の暴力(略奪や暴動など)を本当の意味で理解するにはどうすればいいと思いますか?何故暴力が必要だと思いますか?そして暴力があることでブラック・ライブズ・マター運動を無効にしてしまうことをどうやって止められると思いますか?

Q6. 特権という言葉について、それをどのように定義しますか?そして私たちそれぞれの特権とは何でしょう?

現在、イベントのビデオの編集中です。日本語と英語の字幕をつけるため、時間がかかっていますが、登録いただいた方にはメールでリンクをお送りします。その後、一般の方にも公開します。

反省点は、パネリストの数が多かったため、回答やコメントにあまり時間が割け無かったこと、また接続が悪かったため回答できなかったパネリストさんがいらっしゃったことでした。

またZoom上のQ&Aセクションにも沢山の質問をいただきました。各パネリストさんが空いた時間に回答してくださっている質問もありますので、ご覧下さい。Q&Aのまとめはこちらで見れます

また、人種差別問題について詳しく知りたいという方のために、参考書籍やビデオなどを集めた参考リンク集も作成しました。こちらから見れます

イベントに参加された方で、まだのかたはぜひフィードバックをお送りください。フィードバックフォームはこちらです

頂いたコメントをいくつか紹介します:

日本人はアジアにおける白人と同じ。という言葉が刺さった

日本社会にいると「自分は差別をしていないからいいだろう」という自己肯定から、実は特権的な立場にいるということを知らないままの人が、結果的に加害者になっているという状態がずっと続いているということを改めて考えされられました。同時に、何度この状態を繰り返しても学ばない姿勢に失望します。こういったイベントに参加する方々も「関心があるから」なので、無関心な方にどう自分の問題と考えてもらうことが重要だと思いつつ、どんなに告知をしても変わらないのかという、絶望的な気持ちを持っている自分に気づきます。

「日本に住む日本人として、自分がmajorityでありprivelegedな存在である事を改めて知りました。また、日本人はアジアの白人であるという考え方はしたことがなかったので、新たな視点を知ることができました。」

「自分が日本で今までやってた声かけで、どんな声かけが問題あったのか気付くことができた」

また、今後の改善点について:

「今回参加している人は意識が高い人です。自覚してないで差別をしている人たちがたくさんいる日本で、どうするべきか。友達とするカフェでの会話から始めるだけでは遅すぎる。未来が見えなかった。変わらないだろう日本を諦めたくなる気持ちは変わらない」

私もこの方の意見に同意します。一度だけイベントをやって、いわゆる意識高い人として満足したくないと思っています。そのため、今後も私のポッドキャスト「はみだし系ライフの歩きかた」ではイベントに参加してくださったパネリストさんを再度ゲストとしてお呼びして、引き続きさらに深い会話をしたいと思っていますので、ぜひ番組のご登録をお願いします。(ポッドキャストのリスナーさんコミュニティ「はみライコミュニティ」もあります)

また現在、この「日本における人種差別、多様性、インクルージョンについての考察」、パート2のイベントを企画中です。次回は、パネリストさんは最高4人に絞り、さらに日本国内での差別にトピックを絞りたいと思っています。現在、以下の点からお話をして頂けるパネリストさんを募集しています。

  1. 在日韓国人の方
  2. いわゆるハーフ、日本人と外国人を親に持つ方
  3. 部落出身者の方
  4. 今まで日本での差別について考えた事の無い日本在住の日本人の方

これ以外にも「自分だったらこういう視点で語れる」というものをお持ちの方の募集もお待ちしております。ボランティアの通訳さんが限られているため、そして日本の方に差別について考えていただくイベントのため、基本的に日本語で会話の出来る方を優先しますが、イベント自体は英語通訳をつける(もしくは後日英語字幕をつける)ことも考えています。

またこのイベントに関する情報は #日本の差別を考える というハッシュタグで発信していきますのでどうぞよろしくお願いいたします。

お手伝いできるという方はぜひご連絡ください。