Trader Time – Day 43

今日は息子とオットとでIvan Coyoteの Trader Timeを観に行ってきた。昨日と同じく OUTStagesというクイアシアターフェスティバルの一環だ。Ivanはユーコン出身のカナダを代表するスポークンワードアーティストで、私は数年前にIvanの Tomboy Survival Guide を観て打ちのめされて以来のファンだ。なので新しいショウでツアーをしていると聞いた時には、必ず観に行かなくてはと思った。

Ivanがでてきて最初の言葉を発した瞬間に、いかにIvanが好きかを忘れていたことに気が付いた。この人はいつもいたずらっぽくニコニコしていて全然威圧感というものはないのに、言葉を発すると信じられないようなオーラがでてくる。そしてこちらはそれを黙って聴くしかできないのだ。

タイトルのTrader Timeとはユーコンで今でも放送されているラジオ番組で、地元の人が電話してきて物を売ったりトレードしたりする番組らしい。そしてこのショウはIvanが生まれ育ったユーコンとそこに住む人々の話で溢れている。 Ivanはストーリーテリングの天才なので、多くの話は笑い転げるくらい可笑しいが、その他の話は心温まり、涙を誘う。特に女の子として生まれたけど男の子として育ててくれた愛する母に捧げた賛歌では涙が止まらなかった。 そして全てのストーリーがSarah McDougallの美しい音楽と可愛らしいアニメーションで綴られている。

プロのスポークンワードアーティスト兼ライターを自分を比べてどうするんだと思うけど、どうやったらIvanのような素晴らしい文章がかけるのかと思う。同じような文章を書きたいわけではなく、ただ、いい文章を書きたいだけだけど。最近、自分はこの行き先の分からない旅に出ているような気になるけど、ゴールよりはまだまだずっとスタートに近いことに焦りを感じる。答えは、きっと書き続けることにしかないと分かっているのだけど。