ヘイトに立ち向かうには - Day 29

今日は海事博物館でのLost Fleetという展示のローンチイベント。

日本が真珠湾を攻撃した翌年の1942年、カナダの西海岸に住む日系カナダ人たちは強制的に収容所へまとめて移動させられた。日本人は漁業や造船業に関わっている人達が多かったので、船舶も強制的に取り上げられた。Lost Fleetの展示は、当時の没収された船たちの話だ。

基調講演は、日系カナダ人で有名な科学者、環境保護アクティビストのデイビッド・スズキ氏だった。カナダではTVでもよくみかける顔だが、実際に彼の講演を聴くのは今回が初めて。さすがにパブリックスピーキングは慣れている雰囲気。

彼が家族と共に収容所に送られた時は、5歳だったらしく、違う場所にいける冒険、としか幼心には記憶がないそうだが、それでも日系人ということで「なんで目を閉じたまま歩いてるんだ」などの差別的コメントはしょっちゅうだったそう。

デイビッド氏の父親は、強制収容時に関わったカナダ人がイギリス系の人ばかりだったので、イギリス人を嫌悪していたとか。デイビッドが女の子が気になる年頃になると最初はつきあうなら日本人と、そうじゃないなら中国人と、その次はファースト・ネイションズの子、、、と順番があり、ピラミッドの一番下がイギリス人だったそう。それだけイギリス人が嫌いだったらしい。

デイビッド氏いわく「ヘイトにヘイトで立ち向かうことはできないんです。私達が人種差別を経験したからといって、私達が他の誰かを差別することはできません」。

これは昔の話、と思うかもしれないが、デイビッド氏は人種差別はいまでも起こっている、と言っていた。国境の南をみてごらん。

そしてタイムリーなことに、こんなことが起こった。

昨日、私が属している日系団体の会長が、あるミーティングに参加した。この団体では、戦時中に強制収容のため立ち退きせざるを得ず、最終的に廃れてしまったある歴史的建物を立て直そうというプロジェクトを、行政に認めてもらうためのミーティングだったのだが、ある年配の女性が、「日本は敵国だったのだから、そんなことをする必要は無い」と発言したのだそう。

私はミーティングに参加しなかったので、その場には居なかったのだが、会長からの報告メールを見て一瞬、開いた口がふさがらなかった。。。

今でもこういう考えかたをする人がいるんだ。私の住む街に。

ちょっとしたショックだった。

今まで、面と向かって罵倒されるような差別は経験したことはないけれど、「日本は敵国」と平気な顔で発言できる人が私のすむちいさな街に居るなんて、ちょっとシュールだ。

デイビッド氏も言っていた。人種差別は今でも起こっていると。

私達はそのヘイトに、どう立ち向かっていけば良いのだろう?