人望の厚いひと – Day 26

今日は映画のエキストラの仕事だった。厳密には仕事ではなくて、ボランティア。以前一緒にお仕事をしたことのある監督さんが、惚れ込んだ脚本があるとかで、自費で製作することになったものだそう。この監督さんが(以前お仕事したときは彼はアシスタントディレクターだったのだけど)もうマジで!?っていうくらい、下っ端の人にも礼儀正しくて、すぐに私は大尊敬してしまった。エキストラというのは、キャストよりもクルーよりもずっとトーテムポールの下に位置する仕事なんだけど、この監督は全員の名前をまず最初に覚え、名前を呼んで仕事してくれる。1度お仕事をして惚れ込んでしまった私は、数週間前、彼から自費制作でボランティアになってしまうので、それでも良いと言う人が居れば連絡下さい、というメールが届いた時、まっさきに「やります」と返事をした。

ロケーション先(アートギャラリー)につくと、クルーも以前お仕事一緒になった人ばかりで、和気藹々。今日の私の役は、美大生といったところ。多くの人が、監督が彼だからこそ参加したといっていた。こういうのを、人望が厚いというのだろうな。

撮影自体は滞りなく終わった。終わったあとは監督も1人1人と握手して、お礼を言っていた。

映画業界に足を片足だけ、というよりつま先だけ踏み入れているような状態の私は、この数ヶ月、本気でこの業界に入るかどうか迷っている。労働時間は長いし、私は特に監督にも女優にもなりたいわけではない。でもあのみんなで何かを一緒になって創るというところにロマンを感じてしまうのだ。

今日もうひとつ嬉しかったのは、クルーの1人が友達だったこと。彼女とはTwitterが流行りだしたことにオンラインで知りあった。もともとケータリング・フードサービス系の仕事の彼女は今では映画やTV撮影のケータリング業をやっている。とても忙しいらしく、先日はこの付近で撮影されているジェイソン・モモア(!!)の映画の仕事を断らなければいけなかったそう。でもやはり仕事の時間は長いし色々大変そうだ。

つま先だけ踏み入れている状態だけど、今日のような日は、足をもう少しさらに一歩踏み込んでも良いかな、という気になった日だった。