【1000冊紹介する018] Tomboy Survival Guide – Day 77

Ivan Coyote(アイヴァン・カヨーテ)はカナダのストーリーテラー、スポークンワードアーティストそしてライター。ユーコン準州で生まれ育ったトランスジェンダーだが、カナダ特にBC州では人気がある。

私は2年前にビクトリアでTomboy Survival Guideのショウをみて以来アイヴァンの大ファンだ。今年もつい最近、アイヴァンと、パートナーのサラ・マクドゥーガルが二人でやるTrader Timeというショウも観たばかりで、それもとても良かった。この、本バージョンのTomboy Survival Guideはその時に購入してサインしてもらったもの。

本当に感動した本の書評を書くのは苦手だ。ボキャブラリーはほとんど「良かった」「素晴らしかった」「感動した」で終わってしまうから。この本も同じで、どのストーリーも素晴らしかった。

アイヴァンのショウを観たことがある人なら、アイヴァンがどのくらい才能あるストーリーテラーか、ご存じと思うが、この本も例外なく、素敵なストーリーに満ちている。

ユーコン準州で育った子供時代の話、きょうだいやいとことトラブルに巻き込まれた話、家族の話から、男ばかりの電気工学校時代の話、バンクーバーで映画のセットで働いていた時の話、トランスジェンダーとしての辛さや悩み、クイアとして悩む人へ充てた手紙、などなど、どれも、涙が出るほど笑えるか、感動するか、またはぶつけようの無い怒りでいっぱいになったりする。

そして、ストレートでトイレや更衣室を毎回なんの問題もなく使えてきた私にとって、トランスジェンダーのトイレ問題は(このことに関してはポッドキャストでも以前話しているが)本当に深刻だと実感させられたし、これからジェンダー問題と共に積極的にサポートしていこうと思った。

アイヴァンの文章はユーモアと愛に満ちていて、いつもやさしい。そして、はっと感心させられるような表現に溢れている。

アイリッシュカソリックの家族に育てられたアイヴァンだが、敬虔なカソリックだったおばあちゃんの「神様は間違いをおかしたりはしないんだよ。あんたは神様の思し召し通りの人間ってことを忘れちゃいけない」という言葉が胸に響いた。

アイヴァン・カヨーテはカナダの国宝だと思う。