Lifehacking.jpの堀さん、「みたいもん!」のいしたにさんが読んだ本1000冊紹介するというプロジェクトに取り組んでいらっしゃるので私も遅ればせながら勝手に参加させていただくことにします。
今年初の長編は、「洋書ファンクラブ」の渡辺由佳里さんが紹介されていた「All the Light We Cannot See」です。
第二次世界大戦中のヨーロッパ。パリに住む盲目の少女Marie-Lureと、ドイツの孤児院に妹と住むWerner。Marie-Lureの父親はパリの国立自然博物館の鍵技師ですが、目が見えなくなってしまった一人娘のために、住んでいるパリの街角の模型を作ってくれ、Marie-Lureはそれを毎日指でなぞっては地形を頭に叩き込みます。いっぽうWernerはある日、偶然見つけた壊れたラジオを修理して、妹のJuttaと二人でパリから届くラジオ放送を聴き、見知らぬ世界に夢を馳せます。
戦火が激しくなった1940年、Marie-Lureと父親はパリを離れ、やがて親戚のいるフランス北西部ブルターニュ地方にあるサン・マロの街に到着します。Marie-Lureの父親は、身の回りの品だけでなく、博物館からとある貴重な宝石も持たされていました。。。
1934年から始まり、70年代まで語られる、Marie-Lure, Wernerそして彼らの人生を取り巻く人たちの物語です。
このAll The Light We Cannot Seeというタイトルは、Wernerがラジオを通して偶然見つけた謎の老人の科学番組で、「数学的に言うと、すべての光は目に見えないと言える」、と話していたことにもとづきます。盲目の少女と、ラジオ(ラジオの電波も目に見えない光のひとつですね)に惹かれる少年、、、この二人の人生が、まさに目に見えないものに導かれるようにいつしか交差します。
個人的にはサン・マロという街にとても興味を持ちました。ウィキペディアで街の様子を見ることができますが、要塞化された港町で第二次世界大戦でほぼ壊滅状態になったものの、今は観光地として栄えているとか。いつか是非行ってみたい!
このお話は絵になるシーンもとても多いので、近いうちに必ず映画化されると思うのですが、どうでしょう?映画化、して欲しい!
1ページほどの短い章でほぼ交互にWernerとMarie-Lureのストーリーが語られるのですが、時間が行ったり来たりするので気をつけていないと混乱するかもしれません。戦争と欲がいかに人の人生を翻弄するか、という少し切ないお話です。
この本のサイトを見ていたら、この本に関して著者のAnthony Doerr自身が語っているビデオがありましたので興味がある方は見て見て下さい。