Fuck Politeness – Day 55

今日、週一で配信しているポッドキャスト「はみだし系ライフの歩き方」のステッカーが届いた。クリエイティブディレクターのゆうこさんにデザインしてもらい、一緒にポッドキャストをやっているみかちにBASEで売れるようにセットアップしてもらったのだが、北米用にと私にも送ってくれたのだ。

ポッドキャストのキャッチフレーズFuck Politenessは、私の好きなポッドキャスト My Favourite Murder (MFM)からもらった。なぜなら、私達女性は幼いときから人に失礼にしないようにと育てられるから。誰か(この場合男性が殆どだが)に誘われたり、頼み事をされた時、私達女性にはつい断ってはいけない、相手を傷つけてはいけない、という妙な親切心が働く 。だから興味の無い人にデートに誘われてもはっきりと断れないし、強引に食事や飲み会に誘われても、一度くらいなら、、、とつい誘いに乗ってしまう。断るのは失礼だ、とすりこまれているから。

私は日本で育っているので、女性は静かで上品で綺麗でいなくてはいけないという暗黙のルールを教わってきた。カナダに来て、だいぶ独立できたと思うが、三つ子の魂百までというか、なかなか古い癖が抜けないことがある。

以前、玄関のベルが鳴るのでドアを開けたら若い男性が居て、その人が玄関に入ってきたことがある。家の中に入ってきて初めて、その人が泥酔していることに気が付いた。暴力を振るわれる危険は感じなかったが、自分がどこにいるかも分からないほど泥酔していて、「You need to leave now」と言っても聞かないので、ほとんど押し出すようにして追い出した。後でオットにその話をすると「一体何で家の中に入れたんだ!?」と言われたけど、答えられなかった。反射的に、ドアを開けてしまっていたのだ。平和な日本の田舎で育っている私には、知らない人にドアを開けないという、都会人の常識が無かったのだ。それに、困っているようだったので、つい招きいれてしまった。今ではもうそんな間違いは犯さないけど。

MFMのポッドキャストを聴き進めるにつれて、いかに多くの女性たちが、この親切さ、やさしさを逆手に取られて暴力を振るわれたり、殺されたりしているかを知った。そのうち、ポッドキャスト内で”Fuck Politeness”というのが合い言葉になっていった。全く知らない人にいい顔をする必要なんてない。それより、自分達の身を守ることの方が大切だ。

数週間前、息子を朝学校に送り届けたあと、スーパーに行った。まだ朝早かったので、駐車場はガラガラだった。車を停めて、私はしばらくスマホをいじっていたら、若い男性が私の車に向かって歩いてくるのが見えた。

これが昔の平和ボケしている私だったら、ウィンドウをあけて、「何か?」と聞いていたと思うが、用心深くなっている私は窓を閉めたまま、何の用かと彼を見た。すると彼は、窓越しに「何か今ぶつけなかった?」と聞いてくる。窓越しに私は「What?」と怒鳴った。

彼は「車のうしろ、何かにぶつけたみたい」と車の後方を指さしている。

私は何もぶつけてないと自信があった。早朝の、ガラガラの駐車場で、何にぶつけるというのだ。大体、何かに当たれば自分で気づくはず。これが昔の私なら、「え?どこ?!」とすごく驚いて車から降りていたはずだ。でももうそんなことはしない。

私は少し前に駐車場でバックしてきた車にぶつけられたことがあり、私の車の後方にはちょっとしたへこみがある。

なので、「知ってる。前にぶつけたから」と答えた。

すると男はしつこく「ホント?ホントに今何もぶつけてない?」と聞いてくるので「何もぶつけてないって。I’m good.」と言い、会話は終わったというシグナルを送った。

この時点で、私は彼の様子がおかしいと気づいていたし、現金を手に握りしめていたのも怪しい。ハイだったのかもしれない。

男が立ち去った後も、私は車内に残って彼の行方を見守っていたが、彼は駐車場に停められた他の車の周りをうろうろしていて、やはりあきらかに怪しいやつ。

Fuck Politenessして親切にしなかったため、変な目に会わずに済んだ。

Fワードが使われているにもかかわらず私達がこのフレーズを選んだのは、多少、他人に対して失礼でも良いから女性たちに安全でいて欲しいからだ。知らない男性から誘われたり、断りにくい頼み事をされても自分が安全と感じない場合は相手になんと思われても良いのでNOという勇気を持って欲しい。

ステッカーにはポッドキャストのタイトルとFuck Politenessの他に#黙らない女たち も入っている。このメッセージに賛同して、ポッドキャストをサポートして頂ける方はぜひBASE でご購入ください。カナダ、アメリカの方には送料込み$5でお送りしています。または、Apple Podcastにでて☆とレビューを付けて下さった方には無料でお送りしますのでご連絡を。