みんなちがって、みんないい

Janicaさんという方は全く存じ上げないのですが、彼女のブログをコグレさんがシェアされていて読ませていただきました。

私自身は生粋の日本人ですが、カナダに移住してそろそろ20年。カナダで住んだ年数のほうが日本で育った年数をそろそろ越えようとしています。

私の二人の息子は、父親がカナダ人の、いわゆる「ハーフ」です。「ハーフ」という言葉はあまり好きではありませんが、日本に行くと必ずそう呼ばれます。

Janicaさんのブログでは、彼女のお子さん達が見た目は白人だけど、産まれも育ちも日本で、見かけ以外は日本人の子供と変わらないそう。それでも、見かけが金髪で青い目の外国人だから、いじめにあうことが時々あるとのこと。。。

子供って大人のようなフィルターがなく,思ったことをなんでもすぐに口にしてしまいますよね。そして子供は時にとても残酷です。

だからこそ、その悪気のない言葉で他の人達を無意味に傷つけてしまう前に、家庭でお話してみて下さい、という内容でした。

これを読むと、こういった差別が起こるのは一見日本だけだと思われるかもしれませんが、そうではありません。

私の次男はもうすぐ9歳です。私達はカナダ西海岸の自然が多く比較的リベラルな街に住んでいます。田舎ですが、息子が「ハーフ」だからといっていじめられたことは一度もありません。

ですが、逆に、ここはとても白人の多い街です。

次男はカナダで産まれカナダで育ち、日本には赤ちゃんの時に一度行っただけなので、自分が「半分日本人」という意識がありません。大学生の長男は、日本に遊びに行った記憶などもあるので、彼の中では日本人というアイデンティティは次男に比べて強いようですが、次男のほうはほぼ100%カナダ人として生活しています。私も彼とは99%英語で話しています。

彼には自分がマイノリティだという意識がないので、下手をすると白人のような振る舞いをしてしまうのではないか、というのはかねてから私も気をつけていたことでした。

先日は「マミー、忍者って韓国でしょ?」と言われ、日本人の親としての教育がなっていないと自分を戒めたところでしたが。。。

(「侍も忍者も日本よ!忘れないように!」)

私は仕事でホームステイの斡旋をしていますが、普段のお客様は日本の生徒さんばかりです。ですが先日、中国系カナダ人の友人から相談されて、7歳と9歳の中国人の男の子二人のホームステイを探してくれないか、という話が来ました。彼等がビクトリアに到着した日、同年代だしせっかくだから紹介しよう、と次男も出迎えに連れて行きました。

中国人の男の子達はまったく英語はできず、もちろんうちの次男も中国語はできません。でも、近くの公園に連れていくと言葉が通じなくてもすぐに打ち解けて一緒に遊んでいました。

ホストファミリーに男の子達を託したあと、次男に車の中で「何して遊んだの?」と聞くと「Hide & Seek!(かくれんぼ)」と言います。「Did they know what “Hide & Seek” was?」と聞くと,ハイドアンドシークという言葉自体は知らなかったけど、ジェスチャーで説明したらどういう遊びなのか分かったそう。考えてみると、呼び名こそ言語によって様々かと思いますが、恐らく世界共通の遊びですよね。

言葉の通じない中国からのお友達ですが、「マインクラフト」というと顔がパッと明るくなるのがすごい。さすが世界のマインクラフト。うちに招待して、一緒にゲームも楽しみました。

カナダで英語しか知らずに(次男はフレンチイマージョンに通っているのでフランス語も勉強していますが、普段の会話はほぼ100%英語です)白人が大多数の街で育ってきている次男に、「世の中には自分と全く違う世界で生活している人がいるのだ」ということを少しでも理解してもらえたようで、良い経験になったと思います。

そして先日のこと。

私は離婚して親権を前夫とシェアしているので、次男は1週間おきに私の家とお父さんの家を行ったり来たりするのですが(長男は大学生なので好きな時に遊びに来ます)お父さんの家で1週間を過ごした次男が戻ってきて、何をしたのか話してくれました。前夫は私同様再婚しているので、次男にはステップマザー(もう一人のお母さん)がいるのですが、そちらのおじいさんと一緒にカナダの先住民、ファーストネーションズの方が多く住んでいるエリアに行ってきた、ととても興奮して話してくれました。

カナダには600以上のファーストネーションズの部族がありますが、各部族の長は「チーフ」と呼ばれています。次男のステップ・グランパが、先住民の方々と関わる仕事をしているらしく、ファーストネーションズの知り合いの人達に沢山会ってきたそう。「マミー、僕、チーフにも会ったんだよ!」と興奮気味に話す息子。私も個人的に知り合いのチーフなどはいませんので、すごいねと褒めてあげました。次男はとても得意そうですw

カナダでは、アメリカの黒人差別同様、いやそれよりもひどいかもしれませんが、ファーストネーションズに対する過去そして現在の差別が社会問題になっています。

私と夫は、肌の色、どの国、文化で育ったか、性的嗜好などで差別をすることはあり得ないという価値観が一致しているので、次男にも常にニュースなどを見るたび話をしています。

少し前までは、女装をする男性などを見るとくすくす笑っていた次男でしたが、先月のプライドのイベントなどにも参加して、「誰がどんな恰好をしてもその人が幸せなら私達が関与することではない」と教えています。

先のJanicaさんのブログにも書かれていましたが、子供は、見慣れていないから差別を(本人には差別という意識がなくても)してしまうのではと思います。外国人が日本の浴衣を着たり日本文化の習い事をするのは変だ、というのは親に教えられてそう言っているのではなく、実際にそういう人が周りにいないからだと思うのです。

とはいっても、世の中には様々は「普通と違う」人達がいますので、全部を説明するのは難しいですね。「専業主夫のお父さん」「外で仕事をしているお母さん」「日本語しか話せない白人」「本当は男の子なのに女の子の恰好をする子」「お母さんが二人いる家庭」「みかけは日本人なのに英語しか話せない子」「学校に行かない子」などなど。。。

だから普段から子供達には「違っているのは変」ではなく、「違っているのは素敵、面白い」と教えてあげるのはどうでしょうか。

息子が「この子達、英語全然しゃべれない」と言ってきたら「彼らは中国語を話すのよ、すごいね」

「ファーストネーションズのチーフに会ってきた」「すごい名誉じゃない。彼等はすごく物知りなのよ」

「○○ちゃんのお姉ちゃん、本当は男の子なんだって」「そうなの。自分らしく生きている子なのね。」

ベタかもしれませんが、みんなちがって、みんないい、を普段から家庭で実践していって、様々な価値観を尊重できる子になってくれたらというのは私の親としての願いです。