【1000冊紹介する019] Untamed by Glennon Doyle

Untamed by Glennon Doyle

1000冊紹介するシリーズ19回目はグレノン・ドイルのUntamedです。

グレノン・ドイルについては今までしっかり書いたことが無かったのですが、ここで触れているとおり、もともとは人気ブロガーから転身してベストセラーメモワリスト(日本語には訳が無いようですが、メモワールを書く人という意味です)になった女性です。敬虔なクリスチャンの家庭で育ち、拒食症とアルコール・ドラッグ依存を乗り越えて母になり、ブログMomasteryで超人気ブロガーになります。(私は当時彼女を知らなかったので、よく知らないのですが)

私は彼女の最初の本 Carry On, Warriorは読んでいないのですが、2冊目のLove Warriorは読み、とても感銘を受けました。彼女の結婚生活の話なのですが、途中で夫が浮気をしていたことを知り、傷つき、離婚を考えるものの、最後には夫とやり直すことを決めます。こうやって一文で書いてしまうと簡単ですが、その経過を細かく、感情的に記していて、人生のどん底に落ちたときにどう這い上がるかについての考察が書かれています。特に、この本で一番参考になったのは、Just do the next right thing, one thing at a timeという言葉で、以前書いたブログから引用すると、

夫と離婚する、と決断した翌日、子供達の遊ぶ様子をみて「この子達を悲しませることなんてできない。やっぱりもう一度がんばる」となり、でもその数時間後には「やっぱり私にはやりなおすことなんてできない」と迷いに迷うグレノン。心の痛みを、なんらかの確信でおさめようとしている自分に気づいた彼女は、こういうつらい状況の時は”Just Do the Next Right Thing, One Thing at a Time”と言っています。将来どうなるかわからない、でも、とりあえず今できる正しいことをやろう、と。とりあえず今日1日生き延びてみよう。明日の事や将来のことはまたその時考える、と。

とあります。私も、どん底で、何をすれば良いのか分からない状況に陥ったことがありますが、グレノンの、「今できる正しいことをやろう」という言葉にとても救われました。

さて最新の本のUntamedですが、これもまた彼女の波瀾万丈な人生が書かれています。実は、グレノンはLove Warriorを書き終え、世界中をブックツアーでまわる最中に、ある一人の女性に会い、恋に落ちます。その女性とは、元女子サッカーアメリカ代表でワールドカップで金メダルも取っている、アビー・ワンバックです。

ここだけ聞くと「え?彼女って結婚してるんじゃないの?」と思う人も居るでしょう。そうなんです。Love Warriorを書き終えた時、本の結末ではこれから夫婦で、家族でやり直すということになっていたものの、同じくブックツアー中だったアビーと偶然本のイベントで会い、ほぼ一目惚れのように恋に落ちてしまいます。これは、このUntamedを読んで分かることですが、アビーとの関係はしばらく伏せておいたグレノンは、Love Warriorが出た数週間後に、「夫とは別れます」と発表して大変話題になりました。その時にはすでにアビーと遠距離恋愛状態にあったそうですが、今Untamedを読んで振り返ってみて、答え合わせになるというか「なるほど、そういう経緯だったのか」と分かるようになっています。

アビーと恋に落ちた状況、夫に話して別れることを伝えたあとにアビーに会いに行くシーンなども詳しく書かれていて、恋バナが好きな人はわくわくして読めるのではと思います。とにかく、大恋愛のようで、幸せそうで、それでももちろん世の中の全てのカップルがそうであるように、喧嘩だってするし、意見の違いなどもあります。そのあたりを書いた章もあり、なかなか面白いです。

この本は短いエッセイが綴られたもので、夫とのエピソード、アビーとの恋愛、子育てに関する悩み、女性としてどう生きるか、などが読みやすい文章で書かれています。

私はグレノンもアビーもインスタでフォローしていますが、いつも幸せそうで楽しいカップル、と思う一方、グレノンは本当に神経質で、不完全で、コントロールフリークなのがよく分かります。この本にも、いかに自分が、愛する人を愛するがためにいかに全てをコントロールしなければ不安になっていたか、そして最後には、アビーは大人で、自分で決断できる女性なのだからそれを尊重しなければならない、という結論に達するまでを書いた章もあり、普通の人なら、自分がコントロールフリークであることを書く事さえためらうと思うのですが、彼女は自分の不完全さ、至らなさ、何に怯えているかなども臆面なく正直に書いていて、最終的には彼女に味方したくなるような本でした。

そしてこの本は超フェミニスト本でもあり、私たちがみんな心の奥に秘めているスパーク、野性といいましょうか、を再び復活させるにはどうすればいいのか?も書かれています。これについて、グレノンは4つの鍵を示しています。

鍵1:全ての感情を感じること

妊娠が発覚した若いグレノンはすぐにアルコールとドラッグを止めて、グループでのミーティングに行きます。一人一人その日感じていることをシェアするのですが、禁酒6日目のグレノンは「辛い」と正直に打ち明けます。その時彼女が学んだことは「本当に人間であるということはハッピーになることではなくて、全ての感情を感じることだ」ということ。辛いこと、哀しいこと、恥ずかしいこと、、、あらゆるどん底を経験してきたグレノンは、「もうこれ以上耐えられない」と思ったことがあったけど、自分は全てそれを乗り越えてサバイブしてきたと振り返っています。そしてなんどもサバイブしていくうちに自分が怖くなくなってきたと。辛いことから逃げることはできないけれど、辛さを恐れることがなくなってきたのだそうです。

鍵2: 立ち止まり、知ること

この本で特に印象に残った部分はこの二つ目の鍵、Knowingについて。「知っている」という意味ですが、私たちはみんな答えを心の奥底に知っている、それは時にはずっと奥に隠されていて、歩みを止めて、静かにしないと分からないこともある。グレノンは人を喜ばせようとしはじめてから自分を見失ったと書いています。しかし、今では自分以外の誰も自分を助けることができないのだと書いています。

I understand now that no one else in the world knows what I should do. The experts don’t know, the minsters, the therapists, the magazines, the authors, my parents, my friends, they don’t know. Not even the folks who love me the most. Because no one has ever lived or will ever live this life I am attempting to live, with my gifts and challenges and past and people. Every life is an unprecedented experiment. This life is mine alone.

人の意見に左右されずに、静かに立ち止まり、自分の奥底にある真実を探し出すことの大切さを説いています。

鍵3:想像することの大切さ

人生で辛い状況に陥った時、私たちはともすると「私はだめだ」と思ってしまいます。結婚して子供も居るのに「結婚生活ってこんなものなの?もっと喜びにあふれたものじゃないの?」と不満に思う女性。病気で死に近づいていく子供を抱えた、悲しみにくれる女性。そんな女性たちに、「あなたが想像できるもっとも本当で美しいストーリーはなに?」と聞くグレノン。まずはその質問に答えることから、自分にとって何が可能なのかを想像することができると書いています。いま行き詰まっている人は、自分にとって、「もっとも本当で美しいストーリー」はなに?と問いかけてみてはどうでしょうか。

鍵4: メモを燃やせ

女性は常に世間から渡されたメモに従って生きているとグレノンは言います。グレノンは「私は無私を女性としての頂点と定義したメモを燃やしたけど、まず、長い間その嘘を信じていた自分を許することにした」と言っています。世間は、女性がパートナー、子供そしてコミュニティへの愛を示す最高の方法は彼らのために奉仕し自分を見失うことだと説得してきました。そうやって女性たちは自分を失って行きます。そして女性が自分自身を失うと、世界も崩れてしまいます。だからそんなメモは燃やしてしまおうとグレノンは薦めています。

この本全体に通じるテーマは、本当の自分の大切さと、本当の自分を隠して、もしくは見つけられずに生きていくことの危険さです。周りを不快にさせる真実と、周りを快適にする嘘、あなたならどちらを選びますか。ティーンの子供たちに向けたメッセージも、他人をがっかりされる決断と自分をがっかりさせる決断があったら絶対に他人をがっかりさせる方を選ばなければいけない。絶対に自分をがっかりさせてはいけない、など、私でもずっと覚えておきたい部分が沢山ありました。

不完全だけど、本当の自分とMessyな人生をさらけ出して、正直に生きていくグレノンに、とても勇気づけられた本でした。

またこの本には「食べて、祈って、恋をして」の著者エリザベス・ギルバートとの友情や、グレノンが設立し、リズ・ギルバートやブレネー・ブラウンからもサポートを得ているチャリティ団体Together Rising、そして今社会問題になっているBlack Lives Matter運動についても書かれていて、そのあたりもとても興味深いです。

私はこの本をハードカバーで持っていますが、実はちょっとした手違いで、手元にもう一冊持っています。ですので、読みたいという方には抽選で1名様にグレノン・ドイルのUntamedの本をお送りします。応募するには、

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抽選は7月1日に行います。

想像上の恐怖

数ヶ月に一度やってくるこのFace Downモーメント。鬱とは違い、理由ははっきりしていることがほとんどです。仕事が上手くいかないとき、誰かとコミュニケーションが上手くいかず気まずくなってしまった時、プロジェクトが失敗しそうになったとき。。。

気分がどよーんと落ち込み、何もする気が出ないくせに、心臓はバクバク言っています。まさに、ストレスアウトしている状態。何かしなくちゃと分かっているのに、体が固まってしまい、何もできないのです。

この”Face Down Moment”に関しては過去に何度も書いています。メンタルヘルス的にはさいわい特に問題のない私でもこの「どん底」状態には何度も陥っていることから、これはもう、「生きている限り避けられない、時々やってくる状態」なのだな、とすこーしづつ、本当に少しづつ、学んできました。生きている限り、一生何も起こらずに平和に生活していけたら、なんと素敵なことか。でも、きっとすごく退屈な気もします。

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ブレネー・ブラウン2016年秋の新コース

夏休みも終わり、北米では9月が新学期なので、日本の4月のような慌ただしさです。新学期ということで、夏休みの間はリラックスしていた気持ちを引き締めて、色々と新しいことに挑戦する人も多いようですね。

ブレネー・ブラウンのオンラインコースのサイト、Courage Worksでは、今年の初めからLiving Brave Semester というコースを取っていました。ヴァルネラビリティとは何か、勇気を持って生きるにはどうすれば良いのか、エンパシーとシンパシーの違い、自分にとってのアリーナは何か、などなど、沢山のことを学びました。このコースは来年もまた開講されるようですので取っていない方には強くオススメします。

そして、この秋から、いくつか新しいコースが提供されるのでご紹介しますね。

The Wisdom of Story

最初にご紹介するコースはThe Wisdom of Story、ストーリーの教え、とでも訳しましょうか。ブレネーの最新書、Rising Strong(しつこいようですがまだ邦訳が出ていないようなのでぜひ翻訳したいです)に、「ストーリー」についての話がでてきます。

ブレネーがPixarに行った時のエピソードで、全てのストーリー、お話には「弧」があり、日本語でいう起承転結に近いですが、Story Arcというものについてブレネーは学びます。もとはジョセフ・キャンベルが説いたヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)という、数々の神話に見られる一連のパターンが有名ですが、ここでは簡略化された3つの幕が紹介されています。

1幕 世界観とルールが説明され、事件が起こる

2幕 主人公はヴァルネラビリティを体験せずに問題を解決しようとする

3幕 鎧が外れ、学びが訪れる

Pixar で有名なトイ・ストーリーやバグズ・ライフも上記のような弧(ストーリー・アーク)を描いていますよね。

このWisdom of Storyのコースでは、作家でブロガーのGlennon Doyle Melton と共に、自分自身のストーリーを把握することがいかに大切かについて教えています。Glennonは拒食症と中毒を乗り越えて今では作家として成功している人で、最新刊の「Love Warrior」がヒットしています。

「人生とは辛い(Brutal)ものだけど、同時に美しい(Beautiful)」という学びから、”Brutiful”という造語を作ったGlennonが、私達の人生にもストーリーがあり、それをいかにして自分のものだと認め、ストーリーの辛い部分に来たときにいかに逃げずに、しっかり取り組めるのかについて教えてくれます。

私も早速登録して、ブレネーとグレノンのレッスンビデオを観ていますが、二人の語りに「うん、うん」と頷き、笑い、涙し、「うわ、ここ深い。。」といちいち反応しながら観てしまいます。まだ最初のレッスンビデオを観ただけですが、かなり良い手応えです。

「最初に言っておくけど、このコースを取ったからって、人生の辛いことが無くなるわけじゃないのよ」とブレネー。

「でも、辛くなった時に逃げ出さずに、『ああ、今ストーリーのあの部分なんだ』ってわかるようになれば、辛いことでも少しはこなせるようになると思うの」

コースは9月12日にオープンされましたが、しばらくは自由に登録して自分のペースで進められるのでおすすめです。

4回のレッスンで、料金は$60ですが、20%の割引コードもあります。

登録はこちらからどうぞ

不完全な子育てコース

The Gifts of Imperfect Parenting コースは、ブレネーの最初の著書、The Gifts of Imperfection(ネガティブな感情の魔法)のタイトルをもじった、すべての親に送るコースです。子供が4歳でも14歳でも44歳でも、親の悩みは尽きないもの。家族として、コミュニティとして、勇気ある子供を育て、ヴァルネラビリティは弱さではないと教え、「自分は完璧じゃないし怖いこともあるけれど、私は愛される価値がある人間だ」と自信を持って言える子供達が世界の大部分を占めるようになったら、いったいどんな変化が起きるでしょうか。

このコースのユニークなところは、4歳以上の子供と一緒にできるアートのアクティビティが組み込まれているところで、水彩を初めとした様々なアートプロジェクトが提案されるようです。

コースは10月11日から開始で、4回コースの$60です。私も登録する予定です。

登録はこちらからどうぞ

勇敢なリーダーシップ

こちらも10月から始まるコースですが、ブレネーのこれまでのコースとは別の新しいサイトBrave Leaders上で提供されます。Daring Leadershipというコースで、学校や仕事でリーダーシップを取る人向けに、いかに信頼やレジリエンスを培っていくか、勇気あるチームを育てて行くにはどうすればいいかなどを学べるようです。こちらも私も登録する予定です。

まだサイト自体新しいので、10月15日に正式にサイトとローンチするようです。

ブレネーの本やコースに興味のある方は是非Facebookでやっている非公開グループにどうぞ。自己紹介をして下さいね。