人生でやるべきことが見つからない人へ

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オプラ・ウィンフリーと言えば世界で最も有名な黒人女性でテレビ司会者ですが、「オプラ・ウィンフリー・ショウ」が終了してからは、専ら自分の局「オプラ・ウィンフリー・ネットワーク(OWN)」で活躍しています。女性にとても人気があるオプラですが、私はあまり彼女の番組を見ないので、ファンではないのですが、彼女がプロデュースしているSuper Soul Session というTEDのような講演シリーズでは私が大好きなブレネー・ブラウンが登壇したりしています。

今日はそのSuper Soul Sessionsで講演したエリザベス・ギルバートのビデオをご紹介します。

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エリザベス・ギルバートといえば「食べて、祈って、恋をして」で有名なベストセラー作家ですが、Facebook、インスタグラムをはじめ、ソーシャルメディア上でも読者と幅広く交流していることで人気があります。

この日の彼女のトークは、「ハチドリの飛行」というものです。

登場するなり「今日は、絶対に自分がするとは思わなかったことを話します。『情熱』に対する反対論です。」と切り出します。

でも彼女は常に『情熱』が嫌いだったわけではないと言います。むしろ、作家という職業につけたのは、この情熱のおかげだといいます。

子供の頃からライターになることが夢だったギルバートは、ウェイトレスの仕事をしてくたくたになりながらもひたすら書き続けました。「正直にいうと、当時の私には情熱は合っていました。情熱があったからこそ、書き続けることができたのです」と。

そして2006年に「食べて、祈って、恋をして」が爆発的な大ベストセラーになると、マイクを手渡され、沢山の講演依頼が舞い込んできたと言います。そして何について話したかというと、「情熱」です。「自分の情熱はなんなのかを見極め、追って、夢を叶えよう」と、ほとんどそのテーマでばかり話していたと言います。

先日のブログでも少し書きましたが「飛べばネットが現れる」や、「絶対に失敗しないとわかっていたら、何をやる?」など、お約束の自己啓発系の決まり文句やエレノア・ルーズベルトやかもめのジョナサンなどの台詞をなんども使いながら、情熱について話していました。でも当時の彼女は、真剣に「情熱を追っていれば夢は実現する」と信じていたと言います。

そんなある日、彼女の確信を覆すようなことが起こります。

オーストラリアでのある講演のあと、自分のスピーチに満足しながらホテルでFacebookをチェックしていたら、その日の観客だった女性が、彼女のFacebookページに投稿していました。

「今日あなたのスピーチを聞いてきました。今、自分の部屋に戻ってこれを書いていますが、正直に言って、あなたのスピーチを聞いてひどく落ち込みました。なぜなら、私には夢中になれるような情熱をかけるものが無いからです。

あなたのようなタイプの人達は、いつも情熱を追え、と言いますが、私にはどうしても見つけることができません。怠けているわけではないんです。今までずっと、自分の情熱は何だろうと考え続けて来ました。もし私に何か情熱を傾けるものがあれば、とっくに見つかっているはずです。

私には情熱はありませんが、その代わり沢山のことに興味があるんです。色々なことが面白く感じて、あれこれ試してみるのですが、すぐに飽きてしまい、また次のことにトライしてみるという感じです。でも、情熱は見つかっていません。

この年になってもまだ情熱が見つかっていないことに関してひどく恥ずかしく思っています。そしてこのことで、自分が変人のような気もします。あなたのような人達のスピーチを聞くといつも自分が敗者のような気がしてくるんです。』

これを読んでギルバートは「自分は一体なんてことをしてきたのか」と愕然としたのだそうです。

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彼女の親友のRayya Eliasは(彼女の素晴らしいエッセイは、こちらのポスト内のビデオで見れます)シリアで生まれ、家族でアメリカに移住したあとパンクロッカーとして活躍、その後美容師になり、スタイリストになり、フィルムメイカーになり、本を出し、何故か現在はNYで不動産を売っているそうなのですが、一見無秩序な人生の中にもドラッグ中毒や鬱など、とても辛い時期をくぐりぬけて来た人です。そして彼女は、ギルバートが迷い悩む時に最初に連絡する友人だといいます。なぜなら、沢山の苦難を経験してきた彼女は他人が現在立っている場所に関して一方的な判断を下すことがないからです。

またギルバートの夫(「食べて、祈って、恋をして」に出てくるあの男性です)もブラジルで生まれ、ヨーロッパに渡りその後オーストラリアにも移動し、様々な経験をしてきた人です。

ある日、彼は友人に、「あなたみたいな人は将来何もレガシーを残さないと思う。だってあなたは色々やっているけどこれという情熱がないじゃないの」と言われ傷ついたそうですが、その後色々考えたあと彼が出した答えは「僕が持っている情熱というのは、人生そのものに対してなんだ」と答えたといいます。(ここで会場拍手)

最近では、彼女は「Follow your passion」というマントラのような言葉を自分でもあまり信じていないと言います。なので、最近は「自分が何をしたいのかわからない」「情熱がない」という人には、「まず、プレッシャーから解放されるために、『情熱』というものをいったん忘れましょう」とアドバイスしています。

そして、その代わりに「『好奇心』を追え」と言っています。

ギルバートは、「情熱」というものは人間から全てのエネルギーを奪ってしまうような非常に力強く欲深いものだと言います。その逆に「好奇心」は人に優しい本能だといいます。

情熱のように人から全てを奪う代わりに、好奇心は小さなヒントを毎日少しづつ与えてくれます。まるで、人生の宝探しのように。(好奇心は情熱と違って毎日得ることができるものですね。)

ギルバートは、世界の人達は二つのタイプにわかれるといいます。一つはギルバートのような情熱突進型(ジャックハンマー)か、ハチドリ派。ハチドリ派は様々な好奇心を追いながら様々な文化を交配していき新しい空気を送り、常に物事を新鮮にしてくれます。

ハチドリ派の人は情熱を追うことのプレッシャーから解放されて、ただ好奇心を追うことを続けていれば—そしてこれが魔法のトリックなのですが—いずれはその好奇心があなたを情熱のもとへ導いてくれるかもしれません。whaaat?

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最後は思いかけず一回りして拍手大喝采でした。ギルバートはTEDトークでもおなじみのようにトークのうまい人ですが、これは私がこの数ヶ月の間みたビデオの中でも最高に素晴らしいトークだと思います。

私も、どちらかというとハチドリ派で、ギルバートのパートナーのように、人生そのものがパッション、というタイプなので、「パッションが見つかってなくってもいいんだ」と安心しました。きっと、共感する人はとても多いと思います。

以上、ほぼ意訳ですので、興味のある方は是非ビデオを見て下さい。

いつものように、いろいろ語りたい方のコメント、メール大歓迎です。